改めて「音楽でメシを食う」ことについて考える

世のアマチュアミュージシャン及び関係各位のほとんどは、
「音楽に関係する職業に就きたい」と考えたことがあると思う。

特にアマチュアミュージシャンであれば、
「プロへの道」を夢見ることは至極当然の発想であると考える。

腕に自信があればオーディションを受けまくるとか、
直接プロミュージシャンの事務所に売り込みに行くとか、
具体的行動に移した方も少なくはないであろう。

だが一方では、一度は音楽関係の仕事に就いたものの、
現在は堅気の仕事に転職した方がいらっしゃるのもまた事実。
なぜ彼らは「音楽の仕事」から離れてしまったのだろうか?


ところで「音楽でメシを食う」とは具体的にどーゆー職業のことを言うのだろうか?

早速「音楽の仕事」と言うキーワードで検索してみたらこんなサイトを見っけた。
▼「音楽業界仕事の広場-ミュージックジョブネット-」
http://musicjob.net/

ライブハウスのハコバンド、カラオケ制作、ブラスバンド奏者、ボーカルスクールの講師、
等の募集要項が掲載されとりまんなー。

他の人がどう感じるかはわからないが、少なくともオレ的には、
このサイトで求人募集されている「音楽の仕事」にさほど魅力を感じない。

果たして「音楽でメシを食いたい」と憧れるアマチュアミュージシャンのみなさんから見て、
この中に「今の職業を辞してでもゼッタイになりたい!」と憧れる職種はあるのだろうか?

それともこのサイトに紹介されている職種以外にも「音楽の仕事」があるとお考えだろうか?


恐らくアマチュアミュージシャンの多くは、
華やかなスポットライトを浴びてテレビやステージで歌うことを職業にしたい、
と夢見ているのではないかと推察するのだが、
どう考えてもそのポジションに辿り付ける確率は宝くじ以下。
しかも、音楽的実力があっても、ルックスが良くても、
それ以上に「運」に左右される世界であろうことも想像に難くない。

夢のないことを言うようで申し訳ないが、
現在の生活すべてを犠牲にしてそのギャンブルに挑むというのは、あまりにリスキーすぎる。
ハッキリ言って「人生のやり直し」が利く20代でなければオススメできない。

加えて、仮にその何十万分の一、何千万分の一の「運」を手にできたとしても、
本当に自分の思い描くような「音楽の仕事」に就くことができる保証は何もない。

そう考えると、「音楽の仕事」に就くってえことは、
果たして「音楽好きな一般人」にとって幸せなことなのか? 甚だ疑問に思えてくる。


おぼろげに「プロになること」に憧れているアマチュアミュージシャン諸兄にとって、
現在の日常生活や現在の音楽活動はそんなにも物足りないものなのだろうか?

一人でも多くの人に自分の歌を聴いて欲しい、
少しでも上手く歌を歌えるようになりたい、
超絶技巧なギターテクニックを習得したい、
そう思うのは当然のことであるが、
「だからプロになりたい」と思っている方がいるとしたら、
それは少し考えが短絡すぎやしないか?

日常生活しながらだって音楽活動はできるし、
楽器の練習や歌のトレーニングだってできるはず。

もし、「仕事が忙しい」、「音楽に充てる時間がない」と思っている方がいるようなら自問自答して欲しい。
もし、丸一日24時間、音楽に没頭するチャンスが与えられたと仮定して、
あなたは何日間、音楽に没頭し続けられるだろうか?
24時間、好きなだけ練習できるのだから、
一週間で今までの一ヶ月分に相当する「練習の成果」が上げられると確信しているのか?

「私ならこれからの人生、死ぬまで音楽に没頭できる!」
「音楽に没頭できるならクラプトン程度のテクニックは1ヶ月でマスターしてやる!」
そう断言できる方なら「プロ」の道へ進んでもよいと思うが、
そうでない方は考え直す必要があるのではないだろうか?


ちなみにオイラは、音楽好きが高じてギターを弾き、歌を歌い、機材を集め、裏方稼業にも手を染め、
収入の大半を音楽につぎ込んできた。
「音楽の仕事」に就こうと思ったことも一度や二度ではないが、
どうしても「音楽の仕事に就くと音楽が嫌いになってしまうのでは」と言う恐怖感が消えず、
結局未だに一度たりとも音楽の仕事には就いていない。

でも40歳を過ぎ、今まで音楽を通して知り合った多くの友人たちとともに、
たまの休みにライブを開き、一緒に音楽に興じる。
そんな生活が確立してきてなかなか楽しい「人生のターニングポイント」を通過したと思っている。

世間一般的に「現状に甘んじる」ことは美徳とされていないと思うが、
果たしてオレの音楽人生は「現状に甘んじている」のか?

ええ、オイラはクライアントの意向を無視して自分の好きなようにオペする
「無責任なアマチュアのPA屋」のポジションで結構です。

たまにはワガママ言わせてもらって自分自身もステージに立たせていただきます。

今のオレにはそれ以上の「高望み」をする技量も覚悟もモチベーションもない。
だから今のポジションに停滞しているに過ぎないし、オレ自身、求めていない。


強いて言えばオイラの理想はただひとつ、
「プロ並みの技術を持ったアマチュア楽家」の域に達すること。

普段は一見、何の変哲もない一般人。
しかし、いったんライブのステージに立つや、プロ顔負けの素晴らしい音楽を提供する。
あるいは、お客さんに最高の感動を与える音響空間をプロデュースする。
もしくは、ありとあらゆる楽器・機材を自在に使いこなしてしまう。
そんなウルトラマンみたいな音楽ヒーローに、オレはなりたい!

少なからずオイラはそうなるための試行錯誤を継続しているし、
そんじょそこらのアマチュア以上の知識・技術を習得しているという自負もある。
とは言え、そんな自負は吹けば飛ぶような脆弱なもので、
オイラの回りにはオイラが足元にも及ばないプロ以上のアマチュアが大勢いる。

だから彼らに負けないように、少しでも彼らの域に近づけるように、
日々試行錯誤を繰り返し、日々切磋琢磨していく。

これが「今」のオイラの音楽人生のすべてであると思っている。

その理想を達成するために必要な要素は「いかに音楽が好きか」と言う情熱のみで、
仕事が忙しいからとか、時間がないとか、お金がない、なんてのを言い訳にした時点で、
「その程度の情熱」だったと言うだけのこと。


「音楽が好き好きでしょうがない人」が音楽の仕事に就くことで幸せになれるのか、
未だにオイラにはわかりましぇん。

ただ、音楽の仕事に就かなくても「音楽が好きで好きでしょうがない」ままでいられる人が、
少なくともここに一人はいます。






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  ▼ Recording Studio GARAGE MIHO(本館)はこちら
   http://www.geocities.jp/garage_miho

  ▼ 7月定例やまぼうしライブ
   日時 : 7月13日(金)19時30分~21時00分
   会場 : コーヒー&ギャラリー「やまぼうし」
   料金 : @500円(ワンドリンク付き)
   対戦 : やまぼうしアコースティック級王座決定戦 90分二本勝負
        塩倉亮治(Tide & Wave 所属)vs 丸山研二郎(創作処所属)

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