山下達郎Q&A(その2)

(昨日の続き)

サンデーソングブックの夫婦放談でまりやさんが自宅録音のレア音源を持ってきたり、
「SONORITE」のレコーディングで「KISSからはじまるミステリー」は
データを自宅に持ち帰って切り貼りして作られたとか、
サンデーソングブックの音源は自宅でマスタリングされたりと、
達郎さんのむ自宅はスタジオ機能を持たれているのでしょうか。
そうでしたら、どんなスタジオでどんな機械でどのくらいの広さなのか教えて下さい。
やろうと思えば自宅レコーディングでCD作れるレベルではと思えてきます。
譜面書きもそのスタジオなのでしょうか。
達郎さんの楽曲が生まれてくる自宅パートも知りたいので教えて下さい。
私の仕事場は10畳ほどの防音の部屋で、
ピアノ、データ打ち込み用のコンピューターとシンセ、
それにプロ・ツールスといった陣容で、作曲の環境は整っていますが、
マイクやアンプ等の生音(なまおと)を録音するのに必要な機材がほとんどないため
レコーディング・スタジオには使えません。

ただし、電源管理やケーブルといった出音(でおと)周りの性能はスタジオ並みのクォリティですので、
オーディオ・チェックだけでなく、プロ・ツールスの環境も既成のスタジオに引けをとりません。
まあ、マスタリング・スタジオなら開業できるでしょう。

オープンリールからカセットを経て育った世代は、新しい記録メディアが出るたび
古いメディアに刻まれた音源を新しいものにダビングする作業を余儀なくされてきました。
今のところパソコンの記録メディア(ハードディスク、各種メモリー)が
DATやMDにとって代わるといわれてますが、
それでもクラッシュに備えバックアップをとる何らかのメディアは必要。
FM放送局がアメリカのようにたくさん存在していればリスナーを満足させてくれますが、
達郎さんや一部のかたの番組を除いて、レコード会社のプロモーションの場として、
どの局を選んでも同じ歌ばかり。
今もリスナーは手元に好きな音源を置くには何らかの記録媒体が必要です。
この記録媒体の将来について達郎さんはどんな見解をお持ちでしょうか?
記録媒体という面では、コスト・パフォーマンス、安全性、安定性を鑑みると、
ハード・ディスクがベストでしょう。
しかし、問題はどのようなフォーマットで記録するかというソフト面の方がより重要な問題です。
圧縮フォーマットのMPEGやリアル・オーディオは、
グラフィックの場合は仕方ありませんが音楽はなるべくやめた方がいいです。
次世代のたとえばDSD方式なども、現時点では再生ハードがまったく期待できず、
それでは宝の持ちぐされなので、現時点では非圧縮のPCMリニア方式、
WAVデータやAIFFデータが、将来の再変換にも汎用性が広く、保存には最適と思います。
ただしファイルサイズが大きいので、場所はとりますが。

音楽界の歴史上の人物に「この人にプロデュースして欲しい」、
「この人がレコーディングして欲しい」そんな人物がいらっしゃいますか?
そういう欲求も昔からあまりなし。
イギリスのケ二ー・ゴールド(KENGOl)だったら一緒に仕事できたかも。

ミュージシャンを志している若者にひとこと。
レコーディングエンジニアを志している若者にもひとことアドバイスなど。
表現、特にポピュラー・ミュージックのようなコマーシャル・アートは、過酷な生存競争の世界である。
ミュージシャンとして世に出られるのは、ほんの一握りでしかないことを肝に銘じよ。
「夢は必ず叶う」の如き安直な妄想を、ゆめゆめ抱くべからず。
才能があっても認められないケースがほとんどと心得、
30才近くなっても目が出なければいさぎよくあきらめることも考えよ。
「リスベクト」などと称して先達をみだりに憧れるべからず。

レコーディングエンジニアもミュージシャン同様、過酷な職業と思うべし。
どんなに技術に卓越していても人間関係への関心と配慮がなくては良いエンジニアには絶対になれない。
エンジニアは技術の変化がとりわけ激しい職場なので、
常に前を見て精進していないと、たちまち時代に取り残され仕事を失う。

ミュージシャンにしろレコーディングエンジニアにしろ、単なる「音楽好き」だけでは成立しない。

制作日数が一番かかった達郎さんのアルバム、また、一番短期間で制作できたアルバムは?
どれも日数がかかっていて比較出来ず。
短期間で作ったアルバムなんて一枚もなし。

他人に曲提供の予定は?
今はなし。

もし、達郎さんが、なにからなにまで、好きなよおーに「アルバム」が作れるとしたら、
どんなアルバムを作ってみたいですか?
いつもある程度好きなよおーには作ってますけど。

「ソノリテ」に曲目解説がなかったのはなぜ?
新譜に曲目解説を付けたことなどありません。
再発、リマスター、ベスト・アルバム等には解説を付けますが、
最新新譜に付けることは決してありません。
大体昨今は、ライブ映像に歌詞のテロップだの、封切り前の映画の解説DVDだの、
バカらしい真似が多すぎます。

もし今、1つだけ願いが叶うとしたら、どんな願い事をされますか?
昔のオール・アナログ・レコーディングの環境に戻りたい!!

(さらに明日に続く)



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    4月28日(土)  
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     10:40 ZILL(アコースティック)
     11:15 LET’S PLAY(ロック)
     11:55 鳥井沙樹子(アコースティック)
     12:30 DELTA PROJECT(ブギウギブルース)
     13:10 ゆうみ(アコースティック)
     13:45 青山ばんど(フュージョン
     14:25 藤村智史(アコースティック)
     15:00 Blazing Note(アカペラ)
    4月29日(日)
     10:00 PETE(ロック)
     10:35 hiro(アコースティック)
     11:10 ☆CHIC FELLOWS (ソウル)
     11:45 音色屋本舗(アカペラ)
     12:20 SHIN-RA (ロック)
     13:00 横前恭子with望月美保子(ジャズ)
     13:40 MYST.(和風ロック)
     14:15 MATRIX(アカペラ)
     14:50 RUBBER FUNK(ファンク)
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