水無し川

1976年リリース、吉田拓郎 の6枚目のスタジオアルバム
「明日に向って走れ」 収録曲、「水無し川」


オイラにとっては、リアルタイムで聴いた初めての吉田拓郎のアルバムで、
「LIVE’73」 に続いて、生涯で2枚目に買った LPレコード でございます。

さらに言えば、本アルバムを購入する前に、吉田拓郎のギター弾き語り本を入手し、
全曲の歌詞に目を通した後でアルバムを聴いたワケでして、
中でもこの 「水無し川」 の歌詞に強く惹かれてしまいました。

北から吹いた風に追われて 旅立つ僕を許してくれよ
寒い都会に行こうと思う そこで仕事を探すつもりだ
冬将軍の足音がする 君を暖め愛せもしない
この木枯らしを切り抜けたなら いつか二人で暮らす日も来る

水無し川も昔はそうさ 空に届けと魚が跳ねた
さらば冬枯れ 痩せた畑よ 便りのないは無事だと思え
なけなしの夢はたいて賭けた 一か八かが男の賭けさ
君の汽車賃 送る代わりに 最後の酒に酔うかもしれぬ

流氷が消えて春になっても 君の気持が変わらないなら
その黒髪を切らないでくれ 僕は一目で愛を知るだろう
今は堪えろ 愛しい君よ ああ人生は回り舞台だ
吹雪の後に春の日差しが 花に酔ったらそのとき泣こう

吉田拓郎が書く詞ではあまり見られない、日本語独特の情景描写、
たとえば 「冬将軍の足音がする」 といったフレーズが、
当時、中学~高校生だったオイラの琴線にキョーレツに触れてしまいまして、
この詞を書いた人物 = 松本隆 に多大なる興味を抱いてしまうことになります。

この詞が、木綿のハンカチーフ の男性側主人公と同じシチュエーションで
書かれていることに気が付くまで、それほど時間はかかりませんでした。

「水無し川」 の詞のストーリーを読んでみると、
果たしてこの主人公の 「出稼ぎ男 (?)」 は都会に出て、
自分の夢を実現できたのか、はたまた夢敗れてしまったのか、は明確でなく、
夢の実現は困難であろうことを示唆したところで終わっていますが、
田舎に残した恋人への 「想い」 はヒシヒシと伝わってきます。

決して映画のような 「情景」 を描いているワケではないんですが、
日本人独特 (だと思う) の、やるせなさ、耐え忍ぶ精神力、秘めたる思い、
といった 「情念」 がそこかしこから透けて見える・・・と思うのはオイラだけでしょーか。

本作品以後、歌謡番組を見ていて 「作詞: 松本隆 のクレジットを見つけると
たとえ楽曲を聴かなくても、歌詞だけは 「平凡」、「明星」 等に付録の 
「歌本」 でチェックする、ということが習慣となり、現在に至ります。
(さすがに現在はインターネットでのチェックですが)

直情的なロケンローラーや四畳半フォーク歌手であれば、自分の主張、メッセージ等を
ダイレクトに伝えるような詞、情感たっぷりの詞を
書いてしまうパターンが多いような気がしますが、松本隆の場合は、

「日本語という絵具を使って、いかに美しい油絵を描くか」

ということに心血を注いでいる芸術家、というのが、オイラの 「松本隆」 評です。

オイラにとって、その入口となった曲が、この 「水無し川」 でした。
そーいった意味では一生忘れられないメモリアルな名曲です。



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 12月定例やまぼうしライブ







日時 12月14日(金)19時30分~21時00分
会場 コーヒー&ギャラリー やまぼうし
出演 19時30分~ 丸山研二郎 (アコギ職人)
    20時15分~ 福居八大 (津軽三味線






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久しぶりにつくったオリジナル曲(デモトラック)























※オイラ20代の頃に加入していたアマチュアバンド アーバンギア のデモ音源です

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