旅する作詞家

吉田拓郎ファンには馴染みの深い作詞家・岡本おさみ さんが亡くなられたそうな。
2017年11月30日逝去、享年73歳。

たしか拓郎自身がラジオで語っていたと記憶しておりますが、
岡本さんと拓郎は手紙や電話でのやり取りで曲作りを行い、
実際に二人で集まって仕事をしたことはほとんどない、とのこと。

確認のためにヤフってみると、やはりそれらしき記述が散見されるので、
恐らく9割がた事実だと思います。

何度も書いておりますが、オイラは 松本隆 に強烈な影響を受けているので、
ハッキリ言って、岡本さんの歌詞にはそれほどの思い入れはありません。

吉田拓郎作品の全体的な印象としては、「旅」 にまつわる記述が多いことが第一。
上京した若者が故郷を思う 「望郷の心象風景」 が第二。
そして、若くして人生を悟ってしまったかのような 「あきらめの境地」 が第三。
・・・というところでしょうか。

つーか、この人ほど 「夢や希望に向かってまっしぐら!」 的な歌詞を排除した人も珍しい。

「アジアの片隅で」
「いつも見ていたヒロシマ
「おきざりにした悲しみは」
「悲しいのは」
「君去りし後」
「花嫁になる君に」
「ひらひら」
「祭りのあと」

これらの歌に登場する主人公は、現在、自分が置かれている環境を
改善しようとする意気はおろか、気配さえ見せておりません。

これって、2015年の今日に氾濫しているJ-POP的な
「桜が舞い散る」 風味の歌詞とは完全に一線を画していると言えます。

そう考えると、作詞家志望のアマチュアミュージシャンで、岡本おさみを知らない方は、
ダメモトでこれらの曲を試聴されると新たな発見があるかもしれませんぞ。

ま、オイラ的には 「岡本おさみ風味の歌詞を作りたい」 気持ちはそれほどありませんが。


おおっと、初めて 「花嫁になる君に」 を聴いたときは 「~なのだ」 的な物言いに
ちょっち衝撃を受けたことを思い出しました。

指がふれたら ぽつんと落ちてしまった
椿の花みたいに おそらく観念したんだね
君はいつものように 電話に僕を呼び出し
僕を笑わせた後で その宣言をしたのだった
お料理を習うのも まんざら捨てたもんじゃないよ
そちらから 電話を切ったから
君はもっと他のことも 言おうとしてたんだろう

受話器を置いたら 終わってから初めて気づく
運命にみたいに 僕にも悲しみが湧いてきた
君はこれから僕に 気軽に電話をしなくなり
僕の退屈さを救ってくれる 君はいなくなったのだ
お料理を習うのも まんざら捨てたもんじゃないよ
突然 とても確かになったのは
取り残されたのは 僕だったと言うことなんだ

実はこの曲、歌詞の中では 「君」 が結婚することを詳しく説明していません。
ぬわんと曲のタイトル = 「花嫁になる君に」 で先にオチを説明しておいて、
曲の中で 「僕」 の揺れ動く想いを時間軸に沿って綴っていく、という手法。
そう考えるとなかなか斬新なカラクリではないでしょうか。

さらに言うと、タイトルの 「花嫁になる君に」 に続くであろう文節 は 贈る言葉 だと思います。
すなわち 「わたし結婚するの」 と言われた 「僕」 が発した言葉は、
「そうか、結婚するんだ、おめでとう」 ではなく
「え・・・実はオレ、本当はオマエのことが好きだったんだ」 でもなく
「お料理を習うのもまんざら捨てたもんじゃないよ」 という
まったく気持ちのこもっていない、ショックで上の空状態で発したトンチンカンな一言だったというオチ。
そんな優柔不断な態度の 「僕」 が 「もう一度考え直してみろよ」 と言ってくれないモンだから、
本当は 「引き留めて欲しい」 と言いたかったのに 「君」 の方から電話を切ってしまった・・・
うーぬ、この 「詳細な説明を省くセンス」 は実に見事だと思いますっ。


というワケで、今後、故・岡本おさみ作品の再評価が高まることは必至、
と確信いたしますが、いかがでせう?




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▼ 月定例やまぼうしライブ












  日時 : 1月8日(金) 19時30分~21時00分
  料金 : @500円 (ワンドリンク付き)
  内容 : 19時30分~ 竹田キミヒコ (ギター弾き語り)
       20時15分~ 福居八大 津軽三味線



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トワイライト・ヴュー (2000年に宅録したオリジナル曲です)








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