「音楽がデジタル化で本当に失っているもの」・・・だと? そんなものはない!

 2015年4月17日の 東洋経済オンライン」 にこんな記事が掲載されていました。

音楽がデジタル化で本当に失っているもの 
-ヒット曲が出にくいのには、ワケがある!-

3ページからなるこの記事を拝読して、まず最初に思ったことは、
「とんだ論点のすり替えだ!」
ということです。

まず、前半は具体的な金額を出して、音楽パッケージ市場の趨勢を比較しています。
・全盛期(1998年)は生産金額ベースで6074億円。
・2014年に2541億円と全盛期の半分以下にまで落ち込んだ。
・約3500億円ものマーケットが消失してしまった計算となる(日本レコード協会調べ)。

ここから、よくある 「なぜ日本の音楽パッケージ産業は落ち込んでしまったのか?」 説を
筆者の視点で綴っていくワケですが、まず、第一の分析として、
「パッケージ商品が減少した分、デジタル配信の売上は伸びているのか?」 という、
これまたよくある論理展開に進みます。
・2014年の有料音楽配信市場は436億円。
・つまり、日本の音楽ソフト市場は全体的に縮小してしまっているのである。

まあ、ここまではわかる。
繰り返しますが、この手の記事の定番イントロとほぼ同じ。
つーか、オイラに言わせれば 「イントロのパクリ」 そのものです。

問題はここから。 筆者の考える
「なぜ、ここまで日本の音楽ソフトは元気がなくなっているのだろうか。」
の分析が噴飯ものの内容です。

以下、本文 (青字) を引用しながら、オイラの ツッコミ (赤字) を述べていきます。

実は 「音楽のデジタル化」 を、これまで取り上げてきた流通、
つまり 「届け方」 とは別の観点でとらえると、違う姿も見えてくる。
着目したいのはコンテンツの「作り方」だ。

音楽業界の不況はコンテンツの作り方に大きな変化をもたらした。制作予算が圧迫され、
作曲家、編曲家、ミュージシャンなどその道の優れた 「職人」 達を起用した作品が
徐々に減少していった。 そこで訪れたのが、「打ち込み」と呼ばれるDTM
(デスクトップミュージック=コンピューターの音源で作られるサウンド) の全盛期だ。
→正確には 「DAW」 ですが。

もともとコンピューターで作られる音楽コンテンツは、
YMO」 や 「TM NETWORK」 などに代表されるように、
シンセサイザーでないと表現できない音を作る際に用いられていた。
それがコンピューターのハード・ソフトともに劇的に機能が進化した結果、
DTMはあらゆる楽器が奏でる音を精巧に表現できるようになった。
音程や音質も自由自在に操れる。 
緻密な編集作業がいくらでも可能になった。

その結果、DTMアプリケーションをオペレート (操作) する技術さえ身につければ、
楽器に触れたことがなかったとしても、
譜面上の完璧な音程とリズムを生み出すことが可能になる。
→不可能です。 プロのDAW職人でなければぜ~ったい無理です。

さらには録音された人の声や楽器の音色も、後処理によっていくらでも修正でき、
少々歌唱や演奏の技術が甘くても、音源上は十分に 「歌手」 としてデビューできるようになった。
→そのおかげでデビューできたAKBやジャニーズが現在の音楽市場を支えています。

ごく一部のプロフェッショナルしかコントロール出来なかった 「音楽」 を
グッと身近にした点で、DTMは革命的な技術といえる。
この技術はコストカットを余儀なくされた音楽制作の現場でも重宝されており、
ミュージシャンのギャラ、スタジオの費用を圧縮する目的でも用いられている。
→そのおかげでハイレベルなアマチュアが多数輩出 (プロデビュー) されました。
ヒャダインなどはその筆頭でしょう。

現代のポップスや大量の音源を制作するカラオケの分野などは、
DTMでないと成り立たない側面もある。
打ち込みでなければできない独特の演奏もたくさんある。

ただし、弊害もある。
そこにはあらゆる経験を積んだ熟練のミュージシャンやアレンジャーがいない。
熟練の技でしか表現できない旋律やリズム感が得られない場合、
時として似たようなサウンドが濫造される土壌になってしまっている。
→まったく違います。 「似たようなサウンド」 を求めているのはレコード会社の方であり、
多くのクリエイターはもっと 「オリジナリティ溢れる新しい音楽」 を創りたがっています。
オリコントップ10に 「キック4つ打ち」 ばかりが氾濫しているのは誰のせいだと言うのか?

スタンダードとなった名盤や名曲には、必ず優れたミュージシャンたちが参加し、
素晴らしいグルーヴ感を生み出している。
そして、優れた演奏は優れた歌唱を引き出し、優れた歌唱力を持つヴォーカリストが名演を生み出す。
→現在だってすぐれたミュージシャン、ボーカリストはたくさんいます。

大勢のミュージシャンが関わり、長い録音時間をかけて制作されるような作品は
非常に生まれにくくなっていっている。
今、この時代にそうした 「クラシカルなサウンド」 を追求するミュージシャンや
アーティストも大勢いるが、かつてと比べるとそうした機会は圧倒的に減っている。
→レコード会社が予算を組まないんだから仕方ありません。

リリースされてから何十年も聴かれるような大傑作の中には、大勢の才能、潤沢な資金、
時間が生み出した作品がたくさんある。
The Beatles」 後期のアルバムや 「Pink Floyd」 に匹敵するような作品が
生まれにくくなる時代になりつつあるのかもしれない。
これは由々しき状況だ。
→ここまでJ-POPに関して述べていたのに、急に世界的スタンダードを持ち出すのはおかしい!
まさに論点のすりかえ!

今後は何が望ましいのか。
DTMがさらに発展してその道の優れたクリエイターが生まれ、育ちながらも、
圧倒的な技術と才能を持った職人たちが奏でる音楽も、これまで通り多く生み出されるのは理想的だ。
両者が新しいサウンドに挑戦し、ユーザーはハッとするような音楽を次々と楽しめる。
そんな時代が来たら、これから先も豊かな音楽文化を繋げることができるはずだ。
→レコード会社にプッシュされていないだけで、すぐれた音楽は現在だってたくさんある。
AKBやジャニーズのように 「固定ファン」 ターゲットの商品だけでなく、
新しい音楽ファンを獲得するための 「投資」 を行わなければ新しい市場は開拓できるワケがない!

TBSテレビはソロボーカリスト・コンテスト 「Sing! Sing! Sing!」
(TBS系列毎週土曜深夜1時53分〜*一部地域を除く)という音楽番組を通じて、
そうした場にトライしている。
オーディション番組という形態を採っているため、
歌唱するのはプロデビューを目指すアマチュアだが、
プロですら多くの音楽番組ではカラオケで歌唱しているこの時代に、
すべて生演奏、独自のアレンジで挑戦者たちに歌ってもらっている。
→をいをい、前項まで 「優れたクリエイターが生まれ、育ち~」 と言っていただろう?
オーディション番組を企画するならボーカリストに限定するのではなく、
クリエイター (作詞作曲者、アレンジャー、演奏者、バンド、映像制作者、等) を
主対象とするのが筋なんじゃないですか?

これは、とても手間も費用も掛かるが、ミュージシャンとのアンサンブルを
歌唱の力に変えられるようなヴォーカリストを視聴者に選んでもらうには、
こうしたプロセスを軽んじることはできない。
歌が上手で、唯一無二の個性を備えるヴォーカリストが歌い、
優れた編曲や演奏が歌唱にさらなる輝きを与える、
そうした価値観をユーザーの立場からも求めていく時代になれば、
そう遠くない将来、個性的で新しいサウンドが次々と生まれる時代がやって来るかもしれない。
→そう、つまりこの記事はTBSの新番組をPRするための ステマ だった、というオチでした。

まんまと釣られちまったぜっ!
まったくもう。




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▼ 月定例やまぼうしライブ












  日時 : 5月8日(金) 19時30分~21時00分
  料金 : @500円 (ワンドリンク付き)
  内容 : 19時30分~  杉本あきら (ギター弾き語り
        20時15分~  (出演者調整中)




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トワイライト・ヴュー (2000年に宅録したオリジナル曲です)








※オイラ20代の頃に加入していたアマチュアバンド アーバンギア のデモ音源です

※オイラがファン倶楽部会長(本人未公認)を務めるアマチュアミュージシャン あやあね のブログです

※故・森下よしひささんの名曲をCD化するというプロジェクトです

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宅録作品や関係各位のライブ映像等をアップロードしてあります

※2004年に立ち上げたホムペですが2007年以降更新しておりません

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