iPadを使ったデジタルミキサーの遠隔操作実現までの長い道のり

最近、インターネット上で 「情弱」 という単語をよく目にします。
「情弱」 とは 情報弱者 の短縮語で、
情報弱者 とはコトバンクによると次のように解説されています。

マスコミ報道やインターネットなどに触れる機会が少なく、情報の入手において不利な環境にいる人。
また、情報の価値や真偽の判断に慣れていない人。→デジタルデバイド

オイラ的には、ネット上では後者の意味で使われるケースの方が主流のような気がします。

たとえば、インターネットのまとめ情報サイトに
「コンビニで売っているカット野菜にはまったく栄養がないばかりか、健康を害する恐れがある。」
という情報 (投稿、転載記事等) を見つけた場合、
他のサイトの情報、販売経路の追跡調査、厚労省健康被害報告の実態、
等の裏付け調査を行わずに、右から左にその情報を拡散してしまい、
結果的にデマゴギーに協力してしまう人たちのことを
「情弱」、あるいは 情報リテラシーの低い人」 と呼ぶのだと認識しています。

ちなみにこの 「コンビニ野菜には栄養がない」 という情報は、
健康食品販売関係者による自社商品販促のためのネガティブキャンペーンというのが真相のようです。


さて、例によってここまでが本日のお題である
「iPadを使ったデジタルミキサーの遠隔操作実現までの長い道のり」 のイントロでござんす。

オイラは2012年10月の発売とほぼ同時に
LINE6 の超変態デジタルミキサー 「M20d」 を購入しました。
このデジミキのセールスポイントのひとつが 「iPadによる遠隔操作が可能」 という機能。

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しかしながら、購入してはみたものの本体とiPadとの接続方法がわからない。
無線LANというか、Wi-Fiを使って接続するとのことでありましたが、
自慢じゃないがオイラ、自宅で無線LANルーターを使用してはいるものの、
ほぼすべての設定は製品付属のCD-ROM (ドライバー) が自動的に環境設定してくれたので、
「無線LANに接続するときはネットワークを選択してパスワードを入力する」
程度の知識というかルールを知っているに過ぎず、無線LANそのものの知識は皆無で、
まさに 「情弱」 そのものであったワケです。

そんな 「無線LANの情報弱者 のオイラは次のように考えを巡らせてまいりました。

 LINE6のユーチューブ解説動画によると、M20d本体に装備されているUSB-A端子に 
「USBメモリのような無線LAN機器」 を接続している様子が映っているので、
オイラはこれを 「親機/子機切換機能付き無線LANアダプター」 と勘違いし、
某大型家電量販店でロジテック製品を購入するも、当然役に立たず散財に終わります。


 その約半年後、東京で LINE6の製品説明会 があると聞き、説明会に参加するとともに、
社員の方に接続方法、接続に必要な機器、等の説明を受け、その説明会で実際に使用していた機器
(アップルの 「USB-Ethernetアダプター」「AirMac Express」 ) を購入。
しかし、モノを購入したもののどうも 「正規の使い方」 では M20d に接続できない。

 「正規の使い方」 とは、つまり 「インターネットへの接続を前提にした使い方」 ということ。
「AirMac Express」 に電源コードを繋ぎ、
iPad用設定アプリ 「AirMac ユーティリティ」 を立ち上げると、
まず最初に 「ネットワーク名を設定しろ」 と促されるので 「和也のネットワーク」命名する。
続いて 「LANポートにモデムからのイーサネットケーブルを接続しろ」 と促されるので
指示に従って設定していくと、あっさりインターネットへの接続が完了。
自宅で 「AirMac Express」 を使ったインターネット閲覧用無線LAN環境は整いました。
しかし、オイラの目的はインターネットへの接続ではなくあくまで M20d の遠隔操作です。

 いったん 「AirMac Express」 の電源をオフにしてインターネット接続を解除。
M20d との接続を試みるも、M20d には Ethernet端子が装備されていない ので、
アップルの 「USB-Ethernetアダプター」 を使って、M20dのUSB-A端子を
Ethernet端子に変換した上で、CAT5eケーブルを使って、
「AirMac Express」 のLAN端子に接続する。
これでM20dのWi-Fi機能をオンにすれば、M20d が無線LAN親機として機能するはず。

 前述のLINE6によるユーチューブ解説動画によると、
この状態でiPadの設定メニューから無線LAN選択画面を開けば、
「StageScapeM20d」 というネットワーク名が表示されるはずなのに表示されない。
今になって考えれば、親機である 「AirMac Express」 には
「和也のネットワーク」 しか登録していないので、それ以外のネットワーク名が表示されるはずがない。
しかし、情弱のオイラは、てっきり M20d本体 がアダプターを介してこのネットワーク名を
自動的に生成しているものと思い込んでおりました。

 「StageScapeM20d」 というネットワーク名が表示されないので、
仕方なく 「和也のネットワーク」 を選択するワケですが、
この状態ではインターネット接続していないので、
自動的に 「和也のネットワーク」 への接続が解除されてしまい、先に進まない。
M20dのディスプレイには、接続できません、ネットワークを探しています、
といったメッセージが表示されたまま1時間経っても変化なし。

 前述のiPadアプリ 「AirMac ユーティリティ」 であらゆる設定変更を試みては再起動を繰り返し、
また、工場出荷状態への強制リセットを繰り返すも状況は改善せず。
2013年暮れの時点であきらめの境地になると同時に、
自分が使っている M20d 個体にエラーがあるのではないか? と疑問を抱くに至りました。

 それから約1年間 (2014年) はそのままの状態で使い続けましたが、
輸入代理店がティアックからヤマハに変わる、とのニュースを聞き、いいタイミングだと思い、
2015年3月にヤマハのサービスセンターに修理依頼をオファーしました。

 ヤマハにて動作確認したところ、Wi-Fi動作に関しては問題ないとのメール連絡があり、
修理作業を行わないまま返却いただきましたが、やはりオイラの環境では接続できず。
さらにメールにてやりとりした結果、ヤマハで動作確認した機器を貸し出してくれることになり、
お送りいただいた機器 (バッファロー製の無線LANルーターとUSB―Ethernetアダプタ) で
Wi-Fi接続を試みる。

10 ただし、ヤマハからの手紙によると、iPadの無線LAN選択画面の中で選択するのは、
「StageScapeM20d」 というネットワーク名ではなくルーター本体に印刷された
固有のネットワーク名 「165●●●●●●G」 で、
やはりルーター本体に印刷されたとパスワードを入力せよ、との指示。

11 言われるがままにネットワーク名を選択しパスワードを入力すると自動的にsafariが起動し、
バッファローの画面が表示され 「インターネットに接続できません」 のメッセージ。
ネットワーク選択画面に戻ると、先ほど選択したはずの 
「165●●●●●●G」 への接続が解除されている。
うーん、これじゃあ 「AirMac Express」 のときと同じだなあ~と思い、
あきらめてsafariの画面の右上に表示されている 「キャンセル」 ボタンをクリックすると、
「終了」 と 「インターネットに接続せずに使用」 という二つの選択肢が表示される!!!!

12 「インターネットに接続せずに使用」 ボタンをタップすると、
ぬわんと 「165●●●●●●G」 への接続がようやく固定されました。
iPadにインストール済みの M20dリモートコントロール用アプリを起動させると、
をををを~、2年以上待ち続けた 「Connected」 のメッセージが表示されましたああああ~!!!!

13 その後、ルーター「AirMac Express」 に替えて再挑戦するも、
どうやら再起動を繰り返したためか、マジで故障したらしく、iPadで認識不可となりました。
日を改めて、家電量販店にてバッファローの無線LANルーターを購入し、再挑戦した結果、
上記の手順を踏むことで、ようやく無線接続が安定いたしました。

14 結果論ではありますが、LINE6ジャパンのサイトには
「アップル製AirMac Express と USB-Ethernetアダプタを推奨します」
と明記されておりますが、少なくともオイラのケースではまったく役立たずでした。
恐らく 「AirMac Express」「インターネットを使わずに使用する設定方法」
が解説されていれば何らかの対処ができたのではないかと邪推いたしますが、いかがでしょう。


結論
メーカーは、他社周辺機器の使用を 「推奨」 する以上、その設定方法も解説して欲しいと希望します。
オイラが無線接続に2年も要した最大の理由は 「情弱」 であったことだと自己分析しますが、
ユーチューブの解説動画が誤解を与えたことも否めないと感じます。
特に 「ネットワークの選択」「インターネットに接続しないで使用」 という概念については、
製品紹介サイトや取説に補足説明が必要だったのではないか、とも感じます。

何はともあれ、これでようやくデジタルミキサーの遠隔操作が 「実用」 となりました。
つまり、M20d 本体をステージ袖に設置すれば、マルチケーブルが不要になるということです!

今後のPA現場での活用が楽しみでしょーがありません。
なんてな。