キック四分打ちは平成ビート?

先日、NHK-Eテレ 亀田音楽専門学校」 を見ていたら、
亀田校長が 「四つ打ち」 ビートについてご自身の見解を説明しておりました。

▼その主な説明内容はこちらをご覧あれ。

ここでいう 「四つ打ち」 ビートとは、
本ブログで以前から書いている 「キック四分打ち」 と完全に同義語なので、
オイラが説明しやすいように以降は 「キック四分打ち」 と表記させていただきます

さて、上記サイトの亀田校長の説明要旨をざっくりまとめると次のようになります。
・2000年代初頭からJ-POPの中で 「キック四分打ち」 の曲の比率が高くなってきた。
・どうやら幼少時に小室哲哉を聴いていた世代が音楽業界に就職、デビューするようになり、
 当時、小室サウンドの核となっていた 「キック四分打ち」 を無意識のうちに流用しているようだ。
・なお 「キック四分打ち」 は70年代ディスコ・ミュージックの焼き直しである。

だいたい、以上が亀田校長の説明要旨だと思いますが、オイラが見ていた限り、
小室哲哉は70年代ディスコ・ミュージックの影響を受けてキック四分打ちを復活させた」
という説明はなかったと思います。
いや、もしそう説明していたのなら、オイラ的には 「異論アリ」 です。

オイラは、ディスコ・グルーヴの 「キック四分打ち」 の醍醐味は、
「テンポ」「微妙なスウィング感」 であると確信しています。

70年代ディスコの名曲を聴き直すと、ほとんどの曲がテンポ=100~120です。
これは16ビートカッティングを得意とするギタリストや、
スラップ奏法が十八番のベーシストにとって、もっとも演奏しやすいテンポであり、
譜面上はイーヴン (等間隔) な16分音符の、拍アタマ直前の16分音符の発音タイミングを
ビミョーに後ろにズラすことにより、「ハネているか、ハネていないか、わからない」 という、
ディスコ・ミュージックの真髄ともいえるグルーヴを生み出すことができるワケです。

ハッキリ言って、このビミョーなグルーヴ感を打ち込みで再現するのは至難のワザであり、
オイラに言わせれば、小室哲哉の 「キック四分打ち」 は、ただの等間隔の四分打ちにすぎず、
70年代ディスコ・ミュージックとは 「似て非なるもの」 と認識しています。

では、なぜ小室哲哉が 「キック四分打ち」 を多用したかと言いますと、
ここから先は完全に 「オイラの個人的な思い込み」 に過ぎませんが、
ただ単に 「打ち込むのが簡単だったから」 という理由に尽きる、と思っています。

オイラは、70年代後期から80年代中期まで大ブームだった フュージョン」 
廃れてしまった原因のひとつとして、YMO の出現が無視できないと思っています。

いや、決してYMOの単純なコンピュータービートが、
フュージョンの超絶技巧な人間ワザを片隅に追いやった、などという単純な話ではなく、
YMO人気によりテクノブームが沸き起こり、コンピューターミュージック関連楽器が売れ始め、
プロアマを問わず、ミュージシャンは MIDIシーケンサー を使うようになった、
ということがひとつの大きな原因ではないか、と考えています。
(ちなみにYMOは、クリック音こそコンピューターを使ってはいましたが、
演奏にリズムマシンを使用したことはなく、必ず生ドラムで演奏していました。)

さて、フュージョンのような複雑怪奇なジャンルをMIDIシーケンサーに打ち込むのは、
実は結構、骨が折れる仕事です。
その理由のひとつに、フュージョンの特徴である 「16分音符の裏拍のキメ」 があります。

つまり、フレーズのアタマが小節アタマと同一でない場合 = 弱起 (アウフタクト
特に前の小節の終わりから次のフレーズが始まるときは、
その後の編集作業 (コピペや分割等) の難易度が一段上がり、
これがAメロ~Bメロ~サビといった「ブロック」を跨いだ場合は、さらに一段上がります。
加えて言えば、グルーヴがイーヴンではなくトリプレット=スウィング系になると、
もう二段ほど難易度が上がってしまう、というのがオイラの経験則です。

とても文字でその難易度を説明することはできませんが、
これらに比べると、小節アタマのジャストからフレーズが始まる 「キック四分打ち」 ビートは、
難易度が一気に5~6段ほど下がるワケです。

もちろん70年代ディスコのように、打ち込みで 「ハネているか、ハネていないか、わからない」
グルーヴを再現しようと思ったら、前述のとおり、至難のワザとなりますが、
イーヴンな 「キック四分打ち」 ビートに、イーヴンな刻みモノを被せることは、
決して難しいことではありません。

よって、小室哲哉が 「キック四分打ち」 を多用したのは、
「打ち込みが楽だから」 という理由に依る部分が大きかったのではないか、と妄想するワケです。
もちろん多少は 「70年代ディスコへのリスペクト」 があったものと思いますが。


オイラは、2014年現在のヒットチャートに疎いですが、
恐らく亀田校長の言うとおり、現在のヒット曲の7~8割がたは 「キック四分打ち」 ビートで、
一方、「70年代ディスコ」 のような 「ハネているか、ハネていないか、わからない」 グルーヴや
ブロックを跨いだ 「弱起のフレーズ」 は 「ほとんどない」 、というのが現状ではないか?
と妄想しています。

20代の多感な時代に、16分裏のキメの嵐のような楽曲を聴いていた世代としては、
現在の単純な楽曲構成の曲ばかり聴いていいると、どーしても食傷気味になってしまいます。

・・・なーんてことを書くと、ジジイ扱いされるんだろーなー。
ま、別にワカモノから白い目で見られても気にしませんがね。
ジジイはジジイらしく、70年代ディスコや80年代フュージョンやAORを
これからも愛聴し続けることといたしませう。



おおっと、亀田校長の解説に対してもうひとつ異論がありました。
日本の 「歌謡ディスコ」 の原点 は、決して1979年のヤングマン西城秀樹) ではなく、
1975年からの一連の岩崎宏美作品 (筒美京平の作曲・編曲) や、
はいからさんが通る」、「わんぱく大昔クムクム」 といったアニメ主題歌である、
というのがオイラの個人的見解です。 念のため。




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▼ 11月定例やまぼうしライブ
  日時 : 11月14日(金) 19時30分~21時00分
  料金 : @500円 (ワンドリンク付き)
  内容 : 19時30分~  風太 (ギター弾き語り)
        20時15分~ ノーザンスター (ギター弾き語り)

▼ 関連リンク












トワイライト・ヴュー (2000年に宅録したオリジナル曲です)








※オイラ20代の頃に加入していたアマチュアバンド アーバンギア のデモ音源です

※故・森下よしひささんの名曲をCD化するというプロジェクトです

※オリジナル曲や関係各位のライブ音源等をアップロードしてあります

宅録作品や関係各位のライブ映像等をアップロードしてあります

※2004年に立ち上げたホムペですが2007年以降更新しておりません

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