「すべてのジャンルはマニアが潰す」 は正論か?

2014年1月2日、一部のネットメディアにこんなインタビュー記事が掲載されました。


買収後売り上げが激増 プロレス人気再燃を新日オーナー語る
新日本プロレスが一時の人気低迷から脱却し、
今や若者のデートコースに「プロレス会場」が組み込まれるほどなのだという。
仕掛け人はトレーディングカードなどを手がける 「ブシロード」 の木谷高明社長。
2012年に新日本プロレスを買収し 「世界一のプロレスカンパニーを目指す」
と豪語した木谷氏に、プロレス人気再燃の理由を尋ねた。

「うちが子会社化する前の新日本プロレス (以下、新日本) の売り上げは11億4000万円。
それが今期は25億円まではいくでしょう。
この2年間でお客さんも倍になりました。
1月4日の 『バディファイトPresentsレッスルキングダム8 in東京ドーム』 は
去年の倍以上のスピードでチケットが売れていますから。
ふふふ。どうやったと思います?
実はね、流行らせるために “流行ってる感” を出したんですよ」 (木谷氏。以下 「」 内同)

──どういう意味でしょうか。

「今から説明しますよ。人が物を欲しくなる条件というのがあって、
“近い将来もっと盛り上がっているだろう” と思ったら人はそれを買うんです。
欲しくならない状態はその逆。
これまでのプロレスは流行っていなかったから人気が低迷していった。
子会社化してからはTVCMや雑誌で広告を出しまくりました。
電車の車体広告と駅の看板広告など、大きな大会の前にドカン!と打って出た。
これらの狙いは会話をさせること。
今の日本に隠れプロレスファンっていっぱいいるんですよ。
ただ、彼らは堂々とファンだといいづらくて隠してた。
だって流行ってないから。
だけど電車でデカデカと広告が出ていれば “今朝、山手線で見たんだけど” って
話がしやすいじゃないですか」

──プロレスオタクだと思われたくないファンもいますよね。

「コアなユーザーがライトなユーザーを拒絶していたがために、
プロレスが衰退していった面もありました。
僕は “すべてのジャンルはマニアが潰す” と思っていますから。
ただ、今のプロレスに関しては、そんな排他的なコアユーザーは少なくて、
みんなでプロレスを盛り上げたいという気持ちが強い。
だって僕がプロレス会場にいくと、ファンが“ありがとうございます!”って
握手を求めてくださるんですよ。
新日本を建て直したことに感謝してくれてるのだと思いますが、
おカネをもらってるのは僕のほうですよ (笑い) 。
本当にありがたいです」

──新日本プロレスの会場には女性の姿もチラホラ見えるようになりましたね。

「イケメンレスラーが増えましたからね。
そろそろイケメン選手を題材とした “薄い本” ができてもおかしくないですよ。
ちなみに薄い本というのは同人誌のことなんですが」

──いわゆる 「やおい本」 のことですか?

「まァ、それが出たところで人気とはいえませんが……マイナーメジャー感が出ますよね」

──今後の展望についてはどう考えていますか?

「選手も会社ももっと稼げるような体勢を作っていきたいですね。
トップの選手がCM一本出て数千万円もらえるようなり、
億単位の年収を稼ぐようになればもっと活気が出る。
目標は大きいですがWWE
今彼らの年間の売り上げは500億円といわれています。
規模が違いますので、うちの場合は100億円いけば日本のWWEになったといってもいいと思う。
たぶんいけますよ」

▼NEWポストセブンの記事

オイラはこの記事を読んだとき、まっさきに タダシ☆タナカ 氏が書いた
プロレス暴露本のことを思い出しました。
タナカ氏曰く、プロレスを興行=利益を目的とした商売として見た場合、
客 (ファン) 層は3つの種類に分類されるとのこと。
1 マーク プロレスの仕組みを知らないまま熱狂するファン層。
2 シュマーク プロレスの仕組みを知ったような顔をしているが本当はわかっていないファン層
3 スマート プロレスの仕組みを理解したうえで楽しむファン層

▼参考リンク

80年代における上記の3分類の比率は [マーク70:シュマーク25:スマート5] ほどだそうな。
そして、プロレス団体がもっとも重要視しているのが 「マーク」 、 次に 「スマート」
逆にプロレス団体にとって迷惑極まりないのが 「シュマーク」 だと言うのです。

80年代当時のオイラは、今にして思えば典型的なシュマークだったので、
なぜオイラのようなプロレスファン (マニア) が団体にとって迷惑千万なのか?
その理由をタナカ氏は次のように解説しておりました。

「マークとスマートは、実際にお金を払って会場に足を運び、グッズを購入してくれるが、
 シュマークは会場には来ないくせに、評論家気どりでレスラーや団体の文句ばかり言う。
 そればかりか、初心者レベルのファンを軽蔑し、会場からの排他を主張したりするので、
 興行会社の立場からすると、プロレスを応援してくれるのはうれしいが、
 マニア以外はプロレスを見るな!という独善的主張は慎んで欲しい、と考えている。」

・・・というような内容を書かれていたと記憶しております。

たしかに、オイラはプロレス関連の書籍等は無数に買い漁ってきましたが、
実際にプロレス会場に足を運ぶ回数は限りなく減少方向でありました。

まさに、冒頭に書いたブシロード・木谷社長の言葉
「僕は “すべてのジャンルはマニアが潰す” と思っていますから。」
に通ずると感じた瞬間です。


さて、話はガラリと変わりまして、最近、ネット上で話題になっている 山下達郎 の発言について。

それは、2014年1月26日放送のFM番組 「サンデー・ソング・ブック」 内における、
故・大瀧詠一 氏に関する次のようなコメントです。
なお、この日の放送は、2013年12月に亡くなられた親友でありバンド仲間の
故・青山純氏の追悼特集 (パート2) でありました。


近いうちに大瀧 (詠一) さんの追悼特集も企画する予定でおりますけれども、
大瀧さんが亡くなってから後ですね、番組宛に『早く追悼特集をやれ』とか
『追悼特集は誰も知らないレアアイテムをたくさんかけろ』とか『最低半年はやれ』とか、
そういった類のハガキが少なからず舞い込んで参ります。
ツイッター等のネットでも・・・私、そういうのは興味ありませんので見ませんが、
そういう発言があると聞きます。
そうしたファンとかマニアとかおっしゃる人々のある意味での独善性というものは、
大瀧さんが最も忌み嫌ったものでありました。
…え~、親とか兄弟の関係が他人に説明できないように、僕と青山くん、僕と大瀧さん、
そうした個人的関係もまた第三者に説明できるものではないし、説明したいとも思いません。
したがって、追悼特集の迅速性とか密度というものに私はもとより全く関心はございません。
そこのところ、あらかじめご了承いただきたいと思います。
時期が来たら大瀧さんの追悼特集、やってみたいと思います。


オイラがそうだったように、この放送を聴いた多くのリスナーが、
「親友を失った悲しみと、無理難題を当然のように押し付ける 「マニア」 と称するファンの
 我儘な態度に対する怒り、が入り混じったかのような、震えた口調だった。」
と感じたようです。

オイラはかなりディープなナイアガラーで、かつ山下達郎マニアである、と自認していますし、
正直なところ、大瀧仙人の未発表音源をオンエアして欲しい欲求は、人一倍あります。
・・・が、さすがにこのタイミングで 「マニアックな特集をしろ!」 というのは、
たしかにそう言われてみれば、無神経・不謹慎だったように思います。

すみません、山下師匠に 「そう言われる」 までは、オイラもマニアックな特集を期待していました。

山下師匠は、親や兄弟にも匹敵する大事な親友・戦友を亡くしました。
それも1カ月という短い間に二人も。

恐らく山下師匠は、どこにも公開していない二人の未発表音源を数多く所有しているでしょう。
しかし、二人が亡くなったからと言って、その未発表音源を自慢げにオンエアすることが、
今は亡き親友に対する供養となり得るでしょうか?

・・・というような過剰な思い入れを、マニアを自称するファンが勝手に妄想して、
自分以外の第三者に共感を求めようとすることを、「忌み嫌って」 いたとのことなので、
オイラも自重しなければなりません・・・

まったく懲りないヤツだな > オレ。


ちょっち横道に外れますが、山下師匠は、自身のライブツアーに同行するように付いて回って、
「オレは2013年のツアーで20本のライブを見たぜ~」 とか自慢するファンのことを、
はっきり 「迷惑」 と断言しております。
そのファンが独占するチケットのせいで、何人の新規ファンの獲得が阻害されているか、
というロジックのようですが。

一方、最近、テレビに登場する機会が激減している ジュリー = 沢田研二 のコンサートは、
閑古鳥が鳴くどころか、現在もチケット入手が困難なほど売れているそうな。
その理由は、昔からのコアな女性ファン (マニア) が、 「ジュリーを守る」 ために、
チケットを大人買いすることで興行利益に寄与している、というカラクリらしいです。

果たして 「マニア」 は、興行会社やタレントを支えているのか、潰そうとしているのか、
なかなか難しい問題であると感じます。




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  ▼ 月定例やまぼうしライブ
  日時 : 2月14日(金) 19時30分~21時00分
  料金 : @500円 (ワンドリンク付き)
  内c容 : 丸山研二郎 (ギター弾き語り)
        杉本あきら (ギター弾き語り)


▼ 関連リンク













トワイライト・ヴュー (2000年に宅録したオリジナル曲です)








※オイラ20代の頃に加入していたアマチュアバンド アーバンギア のデモ音源です

※故・森下よしひささんの名曲をCD化するというプロジェクトです

※オリジナル曲や関係各位のライブ音源等をアップロードしてあります

宅録作品や関係各位のライブ映像等をアップロードしてあります

※2004年に立ち上げたホムペですが2007年以降更新しておりません

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