はっぴいえんどに見る 「メッセージソング」 からの脱却

日本のロック史を解説した書籍等を読んでみると、
はっぴいえんどこそが日本語ロックの元祖」 というような表記が多く見られます。

そのこと自体に異論はありませんが、オイラ的にはもう少し踏みこんで、
「メッセージ性やフォークソング的叙情性を排した、叙事的な歌詞」 である点こそが、
はっぴいえんど松本隆の特異性 である、と確信しております。

つまり、自分の感情を表す 「うれしい・悲しい・楽しい・辛い」 という言葉を封印し、
「いかに日本語という油性絵の具を使って美しい風景画を描くか」
という一点に求心しているところが松本隆の凄さなのだと考えています。

「十二月の雨の日」
「かくれんぼ」
「抱きしめたい」
「空色のくれよん」
「夏なんです」
「風をあつめて」

これらの曲の歌詞には、ほとんど感情を表す表現が使われていませんが、
主人公のセピア色の心象風景をノスタルジックに思い描くことができます。

オリジナル曲を作り始めたばかりのアマチュアミュージシャンは、
日記のような、感想文のような、抽象的な感情表現主体の歌詞しか書けない方が
大半のように思えてなりません。
あるいは、「桜舞い散る」 「瞳を閉じて」 「風に吹かれて」 「もう会えない」 といったJポップライクな、
耳触りのより単語の羅列に終わってしまうのではないでしょーか。

そーゆー方々にこそ、ぜひ温故知新の意味を込めて、
はっぴいえんど松本隆 の日本語による風景画的歌詞の世界を勉強していただきたいです。

「水の匂いが眩しい通り」
「雨に病んだ乾いた心」
「唐紅(からくれない)」
「女郎花(おみなえし)」
「摩天楼の衣擦れ」
「とても素敵な昧爽(あさあけ)どどきを」
「緋色の帆を掲げた都市が停泊しているのが見えたんです」
「黒い煙を吐き出しながら白い荒地を切り裂いて冬の機関車は走ります」
「浮かぶ駅の沈むホームに」
「吐息のような嘘が一片(ひとひら)」
「私は熱いお茶を飲んでいる」
「凸凹(いびつ)に歪んだ珈琲茶碗」
「余った時が戦慄いている(わなないている)」
「地べたにぺたんとしゃがみこみ」
「空模様の縫目を辿って石畳を駆け抜けると」
「ねえもうやめようよ こんな淋しい話」
「ほらごらん 冬が空をゆっくりと渡ってゆくよ」

いかがでしょう。
最近のJポップばかり聴いている方にはまったく魅力的に感じられないかもしれませんが、
日本語の詞にはまだまだ秘められた美しくも儚い表現方法がたくさん残っているはずです。

もっともっと貪欲に 「新しい日本語の発明」 に取り組んでいきませう!

(追伸)
松本隆曰く、この曲だけは、はっぴいえんど唯一のメッセージソングなんだそうです。


春よ来い

お正月と言えば炬燵を囲んで
お雑煮を食べながら歌留多をしてたものです
今年は独りぼっちで年を迎えたんです
除夜の鐘が淋しすぎ耳を押さえてました

家さえ飛び出なければ今ごろ皆揃って
「お目出度う」が言えたのにどこで間違えたのか

だけどすべてを賭けた今はただやってみよう
春が訪れるまで今は遠くないはず

春よ来い




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  ▼ 1月定例やまぼうしライブ
  日時 : 1月10日(金) 19時30分~21時00分
  料金 : @500円 (ワンドリンク付き)
  内容 : PAL (ギター弾き語りデュオ)
       Tacaco (ピアノ弾き語り)






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トワイライト・ヴュー (2000年に宅録したオリジナル曲です)








※オイラ20代の頃に加入していたアマチュアバンド アーバンギア のデモ音源です

※故・森下よしひささんの名曲をCD化するというプロジェクトです

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※2004年に立ち上げたホムペですが2007年以降更新しておりません

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