ギターのコードボイシング考 (初級編)

ギター弾きの方であれば共感いただけると思いますが、
開放弦で 「E」 のコードを弾いたときと、カポ=4で 「C」 を弾いたときの 「響き」 は違いますよね?

では、響きが違うと感じる理由はどこにあるのでしょうか。

開放弦で 「E」 を弾いたときの各弦のノートは次のようになります。
6弦=E (ルート)、5弦=B (5度)、4弦=E (ルート)、3弦=G♯ (長3度)、2弦=B (5度)、1弦=E (ルート)、

一方、カポ=4で 「C」 を弾いたときの各弦のノートは次のとおりです。
6弦=B (5度)、5弦=E (ルート)、4弦=G♯ (長3度)、3弦=B (5度)、2弦=E (ルート)、1弦=G♯ (長3度)、

上記を見比べてみると、構成音 (弦) に次のような違いがあることがわかります。
「E」 のコードフォーム・・・ルート=3つの弦、長3度=1つの弦、5度=2つの弦
「C」 のコードフォーム・・・ルート=2つの弦、長3度=2つの弦、5度=2つの弦

一見、「C」 のコードフォームの方が、3声の各構成音が2つの弦で鳴っているため、
バランスがとれた 「響き」 を出すように思えますが、
実際にコードを弾いてみると、「E」 のコードフォームの方がスッキリしているように聴こえませんか?

オイラ的見解では、これには2つの理由があると解釈しております。

1つ目の理由は、オープン・ボイシングクローズド・ボイシング の 「響き」 の違いによるもの。
オープン/クローズド・ボイシングとは、たとえば「ド・ミ・ソ」の和音を弾く場合、
音の重ね方を下から 「ド・ミ・ソ」 と並べる場合がクローズド・ボイシング
一方、「ド・ソ・ミ」、「ソ・ミ・ド」 と並べるのがオープン・ボイシング
よーするにオタマジャクシで表記したときに、下の玉と上の玉がくっついていればクローズで、
間が空いていればオープン、のボイシングとなるワケだす。

▼こちらのサイトの解説がわかりやすいですな
http://tnishioka.web.fc2.com/lesson/chord/3160.html

「E」 のコードフォームは、6弦と5弦、5弦と4弦、2弦と1弦、
の3箇所のインターバルががオープンで、他の2箇所がクローズド。
「C」 のコードフォームは、6弦と5弦、3弦と2弦、
の2箇所のインターバルががオープンで、他の3箇所がクローズド。

つまり、「C」 のコードフォームの方が構成音がダンゴになって聴こえる、ということです。


2つ目の理由は、パワーコードの響きの有無。

ポピュラーミュージック、特にロックの場合は 「3度抜き」 のコード、いわゆる パワーコード を多用します。
パワーコードとは、ルート音と5度の2音のみを弾くことにより、故意にメジャー/マイナー感を無くすワザで、
一般的には、6弦 (ルート) と5弦 (5度)、あるいは5弦 (ルート) と4弦(5度)
の2つの弦のみを鳴らし、他の弦はミュートする奏法がセオリーです。

そして、「E」 のコードフォームは、6・5・4弦で パワーコード が成立しています。
(注:5弦・4弦の構成音は上下 (ルート/5度) が逆になっていますが)

つまり奏者は、意図的に低音弦を強調して弾けばロックらしい力強さを表現でき、
そこに3弦の響きを加えたりミュートしたりすることで、
メジャー/マイナー感を自在にコントロールすることができるワケです。


とまあ、以上の2つの理由により、「E」 のコードフォームの方が 「C」 のコードフォームよりも
オープン・ボイシングのインターバルの箇所が多い分、「音の広がり」 が感じられ、
さらに低音弦の存在感、ルート音を強調でき、さらにメジャー/マイナー感のコントロールも自在、
ということにより、実に 「使い勝手のよい」 コードフォームであると考えられます。

オイラ的には、フォーク系のアマチュアミュージシャンは、
「C」 のコードフォームを多用する方が多いように見受けられますが、
ロック調の曲を弾く場合等は、なるべくノーカポでKey=Eに移調して弾くことを
強~くオススメいたします。

なんてね。









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