オリンピック中継にタレントキャスターは必要か?

連日繰り広げられるオリンピックのテレビ中継。
それまでまったく興味がなかった競技でも、
さすがに世界最高峰の競技者が集まるとついつい画面に見入ってしまう。

そして実況中継、その競技の専門家が解説を加える。
スポーツのテレビ中継の黄金パターン。

そして決着がつくとメインキャスター、
つーか総合司会担当のタレントの画面に切り替わる。

ま、オイラ的にはどおってこともないと思っていたが、どうやら一部視聴者の間では、
このタレントキャスターの過剰なリアクションやあまりに無知なコメントに対し、
かなり不満の声が上がっているようですな。

「せっかく素晴らしい試合を堪能できたのに馬鹿タレントのコメントで興ざめだ」
と言うことらしい。

うーん、わからんでもないが・・・
つーか、これと同じ現象、約20年前にオイラは経験済みだ。

それは当時のプロレスファンにとっては忘れようにも忘れられないプロレス番組
「ギブUPまで待てない!!ワールドプロレスリング のこと。

1982~83年、金曜夜のゴールデンタイムにおいて平均視聴率20%以上を誇っていた怪物番組
ワールドプロレスリング

しかし我が世の春は決して永遠ではなく、1986年以降は次第に下降線を辿ることとなり、
ついには1987年、「プロレス番組の革命」 を起こすべく大胆な番組内容の改編を行った。
それが上記の ギブアップまで待てない~ であるが、これが結果的に最悪の事態を招いてしまう。

Wikipediaワールドプロレスリング」 からの抜粋

1987年4月、火曜日の20:00からの放送に移行した際、テコ入れとしてバラエティーの要素を加えた
「ギブUPまで待てない!!ワールドプロレスリング」として番組を新装。
「プロレス+バラエティー=面白すぎるスポーツ番組の登場!」といったコンセプトのもとに、
山田邦子をメインパーソナリティーとしたスタジオ収録のバラエティーを中心に、
それに試合中継を挟み込む構成とした。
(選手控え室のレポーターだった藤井暁テレビ朝日アナウンサーが
クラッシャー・バンバン・ビガロに試合前インタビューを試みたが、
藤井着用のスーツの両腕を一度にちぎられるといったハプニングもあった)

これに伴い、試合は全て録画中継となった。
また当初は、試合会場とスタジオとを二元中継の形で結ぶこともあった。
しかし初回から、試合中の良い場面で「驚く山田邦子の顔がアップになる」
などの的外れな演出に、プロレスファンが猛反発。
前週まで10%台あった視聴率が5%以下に落ちたともいわれている。

このバラエティー部分は、後にスタジオでの選手へのインタビュー中心に変わり、末期には消滅した。

この番組の中期、山田邦子が一時帰国中の馳浩にインタビューした際、
「(試合中の怪我による)血って簡単に止まるものなんですか?」と聞いたのに対し、
馳が「つまんないこと聞くな。止まる訳ないだろ!」と山田に向かって憤慨したエピソードは有名である。

1987年10月からは再び月曜日の20:00に復帰、
ワールドプロレスリング」のタイトルが復活したうえ、番組も元の試合中継のスタイルに戻る。
前番組の名残りか、この時オープニングテーマとして使われたのは、自局のスポーツテーマではなく、
CHAGE and ASKAの「狂想曲~ラプソディ~」だった。

なお、1986年ごろまでのテーマソングはテレビ朝日系列のスポーツ中継共通のもの
(通常「ウィーンはいつもウィーン」をテーマソングにしている朝日放送でも、
この番組だけはそれを差し替えなかった)だったが、
神津善行作曲・「朝日に栄光あれ」が使われたころ、オープニング部分はそれを若干アレンジしたものを使っていた。


○ゴールデンタイム撤退

1988年4月より、初めてゴールデンタイムを外れ、
かつて「ビッグスポーツ」を放送していた土曜日の 16:00~16:54 に移行。
タイトルも「'88ワールドプロレスリング」と改められる
(1989年から三たび「ワールドプロレスリング」に戻る)。

この時間帯はゴルフ中継が頻繁に放送され、しかもそちらの方が優先されたことから、
毎週の放送が出来ずにファンからは不評だった。

なお1990年頃より、ANN系列 のなかのネット局においても、深夜帯など時差ネットに切り替える動きが出始めた。
1994年4月から土曜の深夜時間帯に移動し、ほぼ毎週放送されるようになった。


ギブアップまで待てない~ の第一回放送が終わった翌週のプロレス専門誌には、
当然の如く関係者、ファンからの不平不満が掲載されたが、その趣旨は大体次のようなモノだった。

ただ人気があるだけで、プロレスの 「プ」 の字も知らないシロウトがプロレス番組の司会を務めるなど言語道断。
オレたち (プロレスファン) の聖域を汚すな! と言うモノ。

当時の アントニオ猪木 の人気は、下手な新興宗教の教祖のはるか上だったから、
このリアクションは十分に予測できた反応であったはず。

にもかかわらず、テレビ局がこのような愚行に走ったのは何故か?
それは、この番組内容改編のアイディアを出したのが、他でもない、アントニオ猪木 だったから。

それはさておき、当時人気絶頂であった山田邦子は、この番組に出演したことにより、
予想だにしなかったプロレスファンからの大ブーイングを浴び、精神的にかなりのダメージを負ったと聞く。

ちなみにこの 「タレント起用路線」 に乗り、1987年12月には、
テレビ界のカリスマ ビートたけし が大晦日のリング上に登場したが、
やはりここでも、両国国技館を埋め尽くした超満員の観客から容赦ない 帰れコール を浴びる結果となった。

神聖なるリングにオチャラケタレントがしゃしゃり出るな! と言うファンの怒りに他ならないワケで、
逆を言えば、いかに当時のプロレスファンが真剣にプロレスを見ていたか、と言う裏付けであるとも言える。

それでは当時のプロレス番組には一切のテレビタレントはノーサンキューだったのか? と言えばそうでもない。

前述の ギブアップまで待てない~ の第一回放送の終了間際、
ゲストの 森本レオ が、「今日の放送、いかがでしたか?」 とのテレビ朝日アナウンサーの質問にこう答えた。

「プロレスファンとしては複雑な気分です」

なぜ、オチャラケタレントに混じって中堅脇役俳優の 森本レオ がゲスト出演していたのか?
それは彼が熱球的プロレスファンとして有名だったから、と言う理由だったと思われる。
そんな彼が、番組プロデューサーの意向を無視ししたかどうかはわからないが、最後に漏らしたこの一言により

「最後の最後にプロレスファンの良心を代弁してくれたおかげで、ほんの少しだけ救われた」

と言うコメントが後日、プロレス専門誌の紙面を飾ったこともまた忘れられない。


そして2008年、北京オリンピックを巡る各テレビ局の浅はかな番組作りを見ていると、
どうしてもこの ギブアップまで待てない~ の苦い記憶を思い出さずにはいられない。

別にタレントの起用がマズイと言うことではなく、その競技に何の愛着も持っていない人間が、
ただ人気がある、と言う理由だけで視聴者の代表ヅラでコメントを述べる必要があるのか?
と言うことだろう。

逆を言えば、たとえ人気がなくても、特定の競技に造詣が深いヲタクなタレントを、
ここぞとばかりに起用すれば、逆にこれによって火がつくことだってあるだろう。

たとえば、学生時代に部活動でその競技を経験したことのあるタレントとか、
デーモン小暮 の 相撲好きのように、特定の競技に解説者以上の知識を有している者とか、
そーゆータレントを発掘する努力をしていれば、もう少しまともなコメントが出せる
・・・ような気がするんですけどねえ。

まあ、とは言っても、今、実際に出演している古田敦也相武紗季、松岡周造らに罪があるワケではない。
人気タレントを露出すれば数字が取れるだろうと思っているテレビ局が浅はかなだけだ。
(もっとも、ダウンタウン浜ちゃんに関しては、ちょっち羽目を外しすぎてるとは思いやすが)

いろいろと苦労してるとは思いますが、あと数日間、がんばってくらはいませ。

ガンバレ! ニッポン!




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