もはやアナログレコーディングミキサーの存在価値などない?

昨日のブログで少しだけ「インライン型」のレコーディングミキサーの話に触れたが、
その後、ちょっち気になって何気にサウンドハウスのサイトをのぞいてみたら、
をあああああ~! 知らなかったあああああ~!
「レコーディングミキサー」 と言うカテゴリがすでになくなっていたなんてえええええ~!

その昔、たとえば 「ギター」 と言う商品の大分類の下に、
「エレクトリック・ギター」 、 「アコースティック・ギター」 と言う中分類があったように、
「ミキサー」と言う商品の大分類の下には、
「レコーディングミキサー」 、 「PAミキサー」 、 「コンパクトミキサー」 等の中分類があったものだが、
オレの知らない間にそのようなカテゴリはなくなっており、現在は、
「アナログミキサー」 、 「デジタルミキサー」 、 「パワードミキサー」 他、ってな分類方法に変わっていた。

いや~、プチ浦島太郎状態になっちまったぜよ。

そっかー、もはや 「レコーディングミキサー」 などと言うジャンルは需要がなくなったと言うことか。
つーか、デジタルミキサーなら十分その代用となりえるもんなー。


さてここで問題。

かつて分類されていた 「レコーディングミキサー」 と 「PAミキサー」 の大きな違いはなんでしょう?


答えは、 MTRプレイバック用モニターブロックの有無」 です。

すなわち、レコーディングミキサーには 「有る」 が、PAミキサーには 「無い」 と言うこと。


PAミキサーは、基本的に各チャンネルに入力された信号を
2ミックスにまとめるだけの単純な造りであるのに対し、
レコーディングミキサーは、その名のとおりレコーダー(MTR)に信号を分配し、
さらにそれをオーバーダビングする際は演奏者に聴きやすいモニターバランスを整え、
最後の最後に膨大なアウトボードをインサートしてミックスダウンする、
と言う複雑な作業をこなせるように様々な「仕掛け」が施されている。

そして、オーバーダビングの際にネックとなるのが、
MTRのプレイバック信号をミキサーのどのチャンネルに入力するか? と言うこと。


たとえば、16トラックのMTRを使って録音作業を行う場合、
16チャンネルのミキサーがあれば事足りるのか?

いえいえ、まったく足りません。

まず、①MTRのプレイバック用として最低でも16チャンネルが必要。
さらに、②オーバーダビングを行うためのマイク・楽器等の入力チャンネルも必要。

では、上記 「②」 にはどれくらいのチャンネル数が必要なのか?

たとえばオイラの場合だと、
リズムマシン、各種シンセ音源、エフェクトリターン等を
常にミキサーに立ち上げておきたかったので、やはり24チャンネルは必要だった。

と言うことは、「①」 のMTRプレイバック用チャンネルと合計すると、
最低40チャンネルは欲しい、と言うことになったワケだ。

だが、40チャンネルもの入力を備えたミキサーなど、
そうそうアマチュアに手が出せるモノではない。
どーすりゃえーだか?

ここで考えられる対処法のひとつは、
もう一台 「①」 専用のミキサーを用意する、と言う手段。
つまり、MTRのプレイバックをミックスするだけに使う安価な16chミキサーを用意して、
その2ミックスをメインミキサーの空きチャンネルに接続したらモニターも可能だろう!
と言う力技だが、実はこのワザではピンポン録音に不向きと言う欠点がある。

やはり一台のミキサーですべてのインプット(40ch)を処理したいところだが、なんとかならないものか?
・・・と言う需要から誕生したのが 「インライン型」 のレコーディングミキサーなのだ。


コイツの特徴を言葉で説明するのはヒジョーに骨が折れるが、ごくごく簡単に説明すると、
1チャンネル毎に2つのインプット(マイクライン入力+テープリターン入力)を装備させ、
さらにそれぞれの音量をコントロールするフェーダー(ツマミ)も装備させる。
2つのフェーダー(ツマミ)は 「メイン」 と 「サブ」 に定義され、
「フリップ」 ボタンひとつで 「メイン」 と 「サブ」 を入れ替えることができる。

つまり、レコーディング中は 「メイン」 にマイクや楽器入力を割り当て、
その出力を、グループフェーダー等を経由してMTRに送り、
そのMTRのプレイバックを 「サブ」 に割り当ててモニターする。
逆にミックスダウンのときは 「フリップ」 ボタンでMTRのプレイバックを 「メイン」 に割り当て、
気が済むまでミックス作業を行う、と言うのが定番の使い方。

・・・うーん、こんな説明でわかるかな? わかんねぇだろーなー(by 松鶴家千とせ


とにもかくにも、1台のミキサーに2倍の入力チャンネルを装備しようと、
かなり強引な設計を施したのが 「インライン型」 ミキサーの正体。
・・・と言うのが、偽らざるオレの感想である。


すべては、増え続けるMTRのトラック数やミキサーに立ち上げたい楽器数の増加が原因なのだが、
やはり、単純にミキサーのチャンネル数を増やすのがもっとも理解しやすい対処法である。


そして現在、その単純なロジックを具現化した製品(と言うか、システム)こそ
デジタルミキサーとDAWの組合せなのだ(そうか?)

オイラの使っているデジミキ(ベリンガーDDX3216)とDAW(キューベース)の場合、
ミキサーのマイクライン入力が最大32で、
MTRのプレイバックはDAW内蔵のソフトウェアミキサーでモニター可能。
ぬわんと最大録音可能トラック数は無制限!(パソコンの処理能力次第)

つまり、DAWの発達により、
ハードウェアミキサーにMTRプレイバック用モニターブロックを装備する必要がなくなった、
と言うロジックなのだ。

ゆえにインライン型レコーディングミキサーの需要は激減し、絶滅寸前に陥っている。
恐らくワシントン条約も適用されることはなく、今後、画期的新製品がリリースされることもない。

まあ、インライン型なんか知らなくても、これからDAWを始める人にはほとんど問題ないでせう。


つーか、現在はさらにソフトウェアミキサーと言う新たなジャンル(?)が生まれてきており、
むしろ昔の固定観念にとらわれていると、この新しい考え方を理解するのに一苦労するのでは?
と言う危惧の方が強いかもしんない。

果たして、昔気質の宅録ヲタがいきなりDAWのソフトウェアミキサーを前にして、
どれだけ使いこなせるのか、老婆心ながらちょっち興味がありますな。
(下世話で申し訳ないっ!)




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