これぞ名盤! 「フォグランプ」 by 渡辺真知子(その1)

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昨日、八神純子 についてブログったら久しぶりに 渡辺真知子 のアルバムを聴きたくなった。
本日お題のアルバムはオイラが生まれて初めて買った 「女性ミュージシャン」 のLPであり、
それこそ何度聴いたかわからない思い出深いアルバムでもある。

リリース(1978年)から約30年経った今、改めて聴き直してみても
まったく色褪せることのない素晴らしい内容であると再認識した。

初めてこのアルバムを聴いたときから現在に至るまで変わらないオレの全体的な感想は、
「ニューミュージック側から歌謡曲へのアプローチ」 と言う印象。

それ以前の歌謡曲側からニューミュージック側へのアプローチとしては、
太田裕美プロジェクト命名:オレ)」の松本隆筒美京平 コンビが有名だが、
渡辺真知子プロジェクト(くどいようだが命名:オレ)」は、
その逆を狙ったものだという印象を抱き続けている。

さて、渡辺真知子プロジェクト」 の実態であるが、
(注:そもそもそんなプロジェクトが存在していたかどうかはまったく未知なので、
あくまで、いちリスナーとしてのオレの妄想の世界の中での話であるが)
編曲者:船山基紀 と バンマス:羽田健太郎 の二人のことである。

ちなみに船山基紀筒美京平の弟子に当たる・・・みたいなことを聞いた記憶がある。
もしそれが事実なら、師弟の2代にわたって
「ニューミュージックと歌謡曲のクロスオーバー」に挑戦し続けたことになりますな。

では、渡辺真知子作品のどこが 「クロスオーバー」 かと言うと、
渡辺真知子八神純子もご存知ヤマハ系列の 「ポプコン」 出身者であるが、
八神純子ポプコンの流れのままにデビューしたのに対し、
渡辺真知子はバリバリの歌謡曲アレンジャーでもある
船山基紀のトータルプロデュースの下でデビューした点に決定的な違いがあり、
船山基紀の存在そのものがクロスオーバー的であったと言える。

1stアルバム 「海につれていって」 は割とポプコン的(?)な作品が多いのに対し、
2ndアルバムとなるこの フォグランプ では一気にムード歌謡にシフトしている。

ちなみに3rdアルバム以降は、いわゆるJ-POP調に徐々にシフトしていきます。

語弊があることは百も承知で書くが、ここで言う ポプコン的」 とは、
「アマチュアがギター1本で作曲できそうな曲」 と言う意味だす。

逆説的に言えば、ギター1本で耳コピできる曲とも言える。
(あくまで「オレの耳で」のレベルの話だが)

横道に逸れまくっているが、とにかくこのアルバム、ハッキリ言って 「歌謡曲 なのだ!

渡辺真知子の作る作品群は、C・Am・F・G7 と言ったフォーキーな楽曲とは対極に位置する
洋楽センス溢れる実に耳新しいものであったが、
船山基紀は、1stアルバムこそ原曲のテイストを残したアレンジを施したものの、
2ndアルバムではものの見事に原曲テイストを上回るゴージャスかつ繊細なアレンジを行った。

そのアレンジの上に声楽出身である渡辺真知子のダイナミックかつ下品で演歌チックなボーカルが乗り、
ヒジョーに素晴らしい歌謡曲アルバムが誕生した。

当時の(今もそうか?)ニューミュージック/J-ROCK系のアルバムなど、
ほとんどがコード譜を元に、その場でセッションしながら構成をまとめていく
いわゆる 「ヘッドアレンジ」 がほとんどだったと思うのだが、
このアルバムは4リズム以外に弦・ブラス・コーラスその他の楽器が随所に使われており、
スコア譜がなければ絶対に作りえない緻密なアレンジが特筆される。

もし松任谷正隆当たりがアレンジしていたら、
ありきたりのニューミュージック然とした作品に終わっていたのではないか。
そう考えると、ニューミュージックではなく、
謡曲として売り出したソニーの目論みは大正解だったと感ずる。


当時フォーク少年だったオレは、このアルバム収録曲をコピーしようとスコア集を買ったのだが、
あまりに見慣れないコードネームのオンパレードであったため、
すぐにコピーを断念したという苦い思い出がありますな。


全体的な楽曲の特徴としては、

・オン・コード(分数コード)、クリシェ、ペダルポイント等の多用

・パート(特にサビ)の最終小節の途中から次の展開が始まる「弱起」の多用

・次から次へと目まぐるしく楽器を変えてかぶさってくるオブリガード

内山田洋とクールファイブを彷彿させる(?)ような歌謡曲チックな弦アレンジ


等が上げられる。


ハッキリ言って、当時のオレには異空間な世界でありやした。

ちなみにオイラがコード理論やら初級アレンジ(いまだに初級だが)をカジリ出して、
上記のような「裏付け」を理解するまでには、初めて渡辺真知子を聴いてから6年かかりますた。

そんなワケで、当時のオレ程度の感覚でも何とか許容範囲だった八神純子に対して、
まったく異次元ワールドな渡辺真知子の楽曲にオイラは魅了されぱなっしだったのであった。


( TO BE CONTINUED / ただし「その2」がいつになるかは未定 )




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