画期的新鍵盤「ラピアン」とは

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写真のシロモノ、これ何かわかりますか?

これは「東京優勝」という会社(シャ、社名だぜ!)がかつて製造・販売していた
「ホールトーン・レボリューション」という楽器なのである。

実際のところは「製造」というよりは改造品に近い。

というのは、当時、すでに発売されていたKORGのシンセ「N5」の鍵盤部を
そっくり「ラピアン」に付け替えただけの製品というのがその正体だったりする。

では「ラピアン」って何?

写真を見てわかるとおり、
フツーの鍵盤(白鍵+黒鍵)ではなくパソコンのようなキャラメルボタン式鍵盤が配されている。
だが実際は、キャラメルボタンはそれぞれ独立しているのではなく縦方向にひとつに繋がっている。
そして横方向に互い違いに配された鍵盤が半音ごとに並んでいる。

うまく説明できないので、パソコンのキーボードに見立てて説明しよう。

「J」のボタンが「ド」だとすると、
「I」のボタンには「ド#」が、「K」のボタンには「レ」の音階が割り当てられていることになる。
更に「J」のボタンと「8」のボタンは繋がっているので、どちらかを押せば(弾けば)当然片方のボタンも追随する。
要は、任意のボタンの水平左右は「全音階」で、斜め上下左右が「半音階」という具合に鍵盤が配されているワケだ。

更に言えば、キャラメルボタンの上部に配された細長いボタン、これは横方向に半音階で配されているので、
この細長い部分をグリスすれば、ノーマル鍵盤では絶対不可能な「半音階グリス」ができてしまう。
(それがどうしたと言われても困るが...)

従来の鍵盤をこのようなボタンに改造することのメリットは何か?

従来の鍵盤はご存知のとおり「Cメジャー」に特化された鍵盤配置となっており、
他のキーの曲を弾く場合には、そのキー(スケール)に合わせた「運指」を覚えなければならない。
つまり、全調を弾きこなそうと思ったら最低でも12の運指を覚える必要がある。
これは白鍵と黒鍵の「絶対位置」関係に由来する弊害(?)であるが、ラピアン鍵盤は、
白鍵と黒鍵のような「絶対位置」ではなく「相対位置」で運指を覚えることにより、
ひとつのスケールを習得すれば、
あとはキーに合わせて横方向にずらすだけで12の調すべてに対応できるというワケだ。

ま、ギターのカポタストの概念を鍵盤に応用したと考えればわかりやすい。


発売当時は「画期的新鍵盤」とか言って、
キーボードマガジンでも特集が組まれるなどけっこう話題に上ったモノだが、
新品価格が「598,000円(!)」というバカ高い価格設定だったため、ほとんど売れなかったと思われ。

ちなみに筐体・音源部の基となっているKORG「N5」の実売価格は10万円を下回る。
つまり、鍵盤部だけで50万円という、殿様商売(大統領商売?)を展開しやがった!

これじゃー売れんわな。

オレなんかかなりキョーミがあったがさすがに手が出せず、
元ネタである「N5」の中古(3万円程度!)を買って我慢(?)していたものだ。


ところが数年前、とある楽器店でこのホールトーン・レボリューションの中古を発見!
価格も10万円と、まあ辛うじて納得できる数字だったので、
よせばいいのに買っちゃいました、オレ。

ちなみにオレが買ったその中古品には取説がなかったが、すでにN5を所有していたオレには問題なし。
更にちなみに、このN5というシンセ、オレが今までいぢらせてもらった歴代のシンセの中でも
操作のわかりにくさという点では5本の指に入るシロモノなので、
もし、N5、もしくはホールトーン・レボリューションの中古を欲しいと思った方には、
ずぇーったいに取説のある商品をゲットされることをお薦めする。


さて、そんなホールトーン・レボリューションがヤフオクに出品されている。
http://page11.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/n29420340

気になる取説は「なし」とのこと!

入札開始価格が98000円かあ...
よほどの物好き(オレのような)でなければ入札することはないであろう。

いるのかな、物好きは?
入札の行方がちょっち楽しみでもあります。





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