これぞ名曲!...12月の雨の日①

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音楽人なら誰にも、自分の音楽観を変えた1曲というものがあると思う。

オレの場合、こと「レコーディング」という点に関して言えば、
高校生の時に聴いた、この「12月の雨の日」に人生最大級の衝撃を受けた。

今年も12月に入ったことにちなんで、思い入れたっぷりのこの曲について、
今日と明日の2回に分けて語ってみたいと思う。


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日本語ロックの元祖として名高いはっぴいえんど
ご多分にもれず、オレも彼らには多大なる影響を受けている。

はっぴいえんど」に関しては、インターネット検索すれば、
それこそ無尽蔵のデータが入手できるので詳細は割愛するが、
主要なプロフィールのみざらっと紹介しませう。

メンバー
 細野晴臣  VOCAL/BASS/GUITAR/KB
 大瀧詠一  VOCAL/GUITAR
 松本 隆  DRUM
 鈴木 茂  VOCAL/GUITAR

公式アルバム
 はっぴいえんど(1970年、オリジナル1stアルバム、通称「ゆでめん」)
 風街ろまん(1971年、オリジナル2ndアルバム、このアルバム製作後、事実上の解散)
 HAPPYEND(1972年、オリジナル3rdアルバム、解散状態のメンバーが集まって制作)
 ライブ!はっぴいえんど(1973年の解散コンサートの模様を収録)
 シングルス(シングルコレクション)
 CITY(ベストアルバム)
 THE HAPPYEND(1985年6月15日の1日限りの再結成ライブを収録)
 ※上記以外に数知れないコンピレーション、本人未公認ベスト、未発表ライブ音源集などがある


さて、本日お題の「12月の雨の日」という曲は、
記念すべき1stアルバム「ゆでめん」のB面2曲目に収録された4分弱の作品で、
作詞:松本隆、作曲:大瀧詠一、という、
その後の日本のロック・ポップス界の大御所となる巨匠二人が若かりし頃に書き上げた名曲である。

はっぴいえんどは、詩・曲・レコーディング技術・プロデュース術に関して非常に評価が高く、
特にこの「12月の雨の日」に関しては、
作曲と作品そのものから溢れ出す、まさに情熱の塊のようなグルーヴ感が素晴らしい。
ちなみに、後に彼らはこの曲をレコーディングし直してシングルバージョンをリリースするが、このファーストテイク(アルバムバージョン)の荒々しさ、瑞々しさには到底及ばない。


んでは、本日は「作曲」面について語らせていただきませう。


この曲、実はかなり凝ったコード進行となっている。

それも山下達郎のようなちょこざいなコードプログレッションではなく、
変化球勝負の転調(移調)が施されている。

イントロは Am7→C→G→D で最初の3つのコードの(2小節)キーはCメジャーだが、
次にD(2小節)のワンコードでキーがDメジャーに移調
しかもギターソロのスケールは、前半2小節がAのマイナーブルースで、
後半2小節はDのメジャーブルース。

しかし、1番のAメロに入るとキーがEマイナーに移行し、
ギターのオブリガードもEのマイナーブルースに変化。

さらに、BメロからはDメジャーに移行し、
コード進行がサブドミナントのGからベースが徐々に下がっていくクリシェ進行となり、
途中で、印象的な代理コード F→A7sus4→A7 をはさんで、
再度、ベース下降クリシェの進行に移り、最後はトニックのDで1番を終了。

再び、イントロと同じ進行の間奏(ギターソロ)をはさんで2番が繰り返され、
エンディングは、Dのワンコードに乗せて、Dのメジャーブルーススケールによるギターソロでフィニッシュ。

とまあ、かなりヘソ曲がりな曲作りではあるが、
あからさまに転調している、といったニュアンスを感じさせないセンスがお見事。

昔は耳コピするにあたり、コード理論もスケールもチンプンカンプンだったので、
「なんでここにこんなコードが入ってくるの?」
と非常に疑問に思ったが、このトシになってようやくそのカラクリが理解でき始めた。

ちなみに彼らがこの「12月の雨の日」をレコーディングしたのは、
たしか、細野23歳、大瀧22歳、松本20歳、鈴木19歳、という驚異的な若さ!

果たして当時の彼らが
どれほど自分たちの作っている曲そのものを自身で解析できていたのかは定かでないが、
結果的にこれほどクオリティの高い楽曲を作っていたのは、改めて脅威的と感じる。

はっぴいえんど」をまだ聴いたことのない方にはぜひご一聴をオススメしたい。


写真は、ファーストアルバム「はっぴいえんど」が通称「ゆでめん」と呼ばれる所以たる
LPジャケットのデザインでござい。


さて、明日のブログでは、
アルバムバージョンの「12月の雨の日」のレコーディングについて語らせていただきたいと思います。


to be continued




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