ライブにおける 「モニタースピーカーの歴史」 を調べてみた

一昨日のブログ記事にて、
「小規模のカフェライブ等ではメインスピーカーをステージ後方に設置することにより
モニタースピーカーの役割を兼用できるので、必ずしもモニターは必要でないと考える。」
旨の私見を述べさせていただきました。

実際にオイラはそのように実践しておりますが、
あくまで 「小規模のカフェライブ」 という前提というか、条件付きのハナシです。
会場の規模が大きくなったり、ボーカルの声量や楽器の出音に著しいレベル差がある場合は、
やはりモニタースピーカーが必要となります。
では、モニタースピーカーが不要・必要の境界線はどこにあるのでしょーか?

その 「境界線」 の考察の前に、個人的興味から 「日本のPAの歴史」 を調べてみますた。
▼そしたらこんなサイトを発見ーつ。

どうやら大学生の卒業論文の類いと思われますが、ヒジョーにうまくまとめられていると思います。
ここでオイラが注目したのがこちらのページ。



上記リンク先ページによると、日本で初めて日本武道館でロックコンサートを行った、
1966年のビートルズ初来日公演の時点では、武道館の常設スピーカーと
仮設したと思われるスピーカーの組合せによるPAシステムであったことが推測されます。

▼こんな画像もみっけ。

さらに、1968年にイギリスのフェスティバルにおいて世界初のステージモニターが設置され、
1970年のフリーとウッド・マックのライブにおいて世界初の客席内でのミキシングが行われた、
とのこと。

日本では1972年のピンク・フロイドのライブが本格的なPAシステムの第一号で、
1973年に日本初のPA専門会社 「ギンガム」 社が設立されたとのこと。

つまり、プロレベルのライブ/コンサートにおいて 「ステージモニター」 システム が登場したのは、
世界では1968年、日本では1972年である、と推測されるワケです。

ちなみに、山下達郎のDJ番組において、
シュガーベイブ時代 (1973~1976年) はモニターなんてなかった。」
と発言していたような記憶がありますんで、恐らく日本においては、
セミプロ/アマチュアレベルのライブに 「ステージモニター」 システム が浸透していったのは、
早くても1977以降ではなかったか? と妄想するワケです。

さらにちなみに、オイラは高校生の頃 (1980年) に学園祭ライブに出演したとき、
地元の某有名楽器店がPA担当していましたが、モニターはありませんでしたが、
高校卒業して、20歳の頃 (1982年) に某社会人バンドにドラムで加入し、
静岡市内の某ライブハウスに出演させていただいた時には、モニターはありました。

恐らく日本において、ライブハウス文化が根付いていったのは1977年以降で、
セミプロ/アマチュアレベルのライブにモニターシステムの概念が浸透していったのは、
約1~2年遅れの1978年以降ではないか、と妄想いたします。

その根拠は、最初はメインスピーカーのみで設置していたものの、
出演者から、プロのようなモニターを導入して欲しいというリクエストが出て、
徐々にその要望に応じていったのではないか、と推測するからです。

ただ、モニターシステムと言っても、前述の 「PAの歴史~その3~」 のデータによると、
日本で初の本格的PAミキサー ヤマハPM1000」 が発売されたのが1974年。
当然ながら貧乏人が簡単に購入できるようなシロモノではないはずなので、
ローカルなライブハウスに設置されていたミキサーにはAUXバスなどなかったと考えられます。

▼参考リンク:ヤマハプロオーディオ年表

果たして、上記のヤマハプロオーディオ年表に記載されているミキサーの中で、
どの機種が、「値段も手頃で十分なAUXバスが装備されているミキサー」 であるのか、
オイラには判断しかねますが、オイラがPAのバイトを始めた22歳の頃 (1984年) は、
1983年リリースの 「MCシリーズ」 が一般的だったと記憶しております。
ちなみに1982年リリースのレコーディングミキサー 「RM804」 の価格が、
100万円以上であったことはぼんやりと覚えています。
(RM804の主な仕様は、8入力/8グループ/8テープリターン/2AUXのようです)

というハードウェア側の事情から察するに、セミプロ/アマチュアレベルのライブ現場では
●1970年代後半まではモニターシステムはなかった。
●1980年前後からモニターシステムが登場するが、メインと同じ信号を返していたと思われる。
●1980年代初頭からメインとは異なるミックスバランスのモニターシステムが浸透してきた。
というような歴史ではないか、と妄想するワケです。

もちろん海外製の高額で高性能なミキサーを導入できる予算がある、
プロ御用達のライブハウス等では、セミプロ/アマチュアより数年先をいっていたはずですが。


さて、長々と「日本のPAシステムにモニターシステムが導入された経緯」を綴ってきましたが、
これは、現代にも通ずる 「ライブの音響システムに必要なものの縮図」 ではないか、
と思うワケです。

つまり、モニターシステムはPAシステムの大型化に伴って要望され、登場したワケであり、
その要望に基づいてハードウェアが開発されたという歴史ではないかと。

この歴史から 「必要とされるモニター像」 が検証できるかもしれません。

(続く・・・かな?)




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  ▼ 月定例やまぼうしライブ
  日時 : 2月14日(金) 19時30分~21時00分
  料金 : @500円 (ワンドリンク付き)
  内容 : 杉本あきら (ギター弾き語り)
       (※もう一組は調整中です) 


▼ 関連リンク












トワイライト・ヴュー (2000年に宅録したオリジナル曲です)








※オイラ20代の頃に加入していたアマチュアバンド アーバンギア のデモ音源です

※故・森下よしひささんの名曲をCD化するというプロジェクトです

※オリジナル曲や関係各位のライブ音源等をアップロードしてあります

宅録作品や関係各位のライブ映像等をアップロードしてあります

※2004年に立ち上げたホムペですが2007年以降更新しておりません

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