白井伸生のガチンコプロレス論

プロレスファンには改めて説明の必要はありませぬが、
当ブログ常連の音楽ファンには何のことかわからないと思いますので、
ごくごく簡略に事の成り行きをご説明します。

かつては新日本プロレスと並んで日本の二大メジャーと言われた全日本プロレスが、
現在、激震に見舞われています。

興行の不振により資金繰りに困窮し、2012年11月にスピードパートナーズ社の
白井伸生氏が株式の100%を買い取り、新しいオーナーに就任するとともに、
新会社 全日本プロレスシステムズ」 を誕生させました。

今年に入り、新オーナーの元、全日本プロレスの興行は旧態依然の状態で継続していましたが、
現在まで収益が好転することはなく、痺れを切らした白井オーナーは大胆な経営改革を打ち出します。
白井オーナーの主張をまとめると次のようになると思われます。

・自分はオーナーなのに 「現場への口出し」 が拒絶されるのはおかしい。
・経営者の視点から言わせてもらうなら、過去3年間において経営改善が見られないようなら、
 経営方針を変えることは当然の措置である。
・現在のプロレス興行の内容 (商品の品質) と対価 (入場料) を考えると、明らかに入場料は高すぎる。
・昭和時代のプロレスには 「勝負論」 が残っていた (真剣勝負を信じているファンが多かった)
 こともあり、手に汗握って試合を見ていたが、20世紀の現在、そのようなファンは激減した。
・しかし、プロレス会場に行ってモニター調査してみると、2~3割くらいのお客さんは
 未だに 「真剣勝負」 だと思っている方がいることもまた事実である。
・私は、ケツ決めのない (事前に勝敗を決めない) プロレスの試合を見たいと思う。
・多くの関係者・選手から、「そんなことはできない」 「無理だ」 「ファンだって望んでいない」
 との意見をいただいたが、前述のとおり、今までと同じことをやっていてもファンはついてこない。
・であれば、今までに前例のない試みに挑戦してみる価値は十分にあると思う。
・9割の方にご理解いただけなくても、1割の方が興味を示してくれる可能性はある。
総合格闘技と違ってプロレスには「受け」という見せ場があるので、100%の勝負論はあり得ない
 というが、であれば、「相手の攻撃は必ず受けなければならない」 というルールにすればいい、
 と私は思う。
・今回の私の方針を理解していただけない選手には辞めていただくしかないが、たとえ小人数であっても
 私の方針に理解を示していただいた選手だけで、新しいガチンコプロレスの可能性を模索していきたい。
(その後、武藤敬司全日本プロレス離脱を表明)

当初は過激な発言ばかりが目立ち、従来のプロレスファンから大バッシングを受けていましたが、
一連の発言を並べていくと、なるほど、と思わせる部分が少なくありません。

オイラは約40年来のプロレスファンではありますが、あまり会場に足を運ぶことはありません。
その理由はただひとつ、内容に比べて入場料が高額であるから、に尽きます。
たしかに年に数回、東京で開催される大一番の試合であれば、1万円以上の入場料であっても
満足度が高いと感じさせる 「質の高い」 興行もありますが、
地方で行われる、あからさまな手抜き試合は、とても入場料に値する「品質」とは思えません。

では、総合格闘技のように100%真剣勝負にすれば 「品質」 は担保できるのか? と言えば、
決してそんなことはなく、真剣勝負ゆえ数秒で試合が終わってしまうことも、
また、両者とも手が出ないまま長い時間にわたって膠着状態が続いてしまうこともあります。

一説によると、プロレス興行の黎明期は 「真剣勝負」 だったものの、面白さに欠けたため、
「このままではお客さんを楽しませることができない=リピーター率が低い」ことから、
現在のような「故意にお互いのワザを受け合う」 というスタイルに変わっていったとの見解があります。

少なくとも日本においては、1993年に 「パンクラス」 が旗揚げされるまで、
「真剣勝負では興行として成り立たない」 というのが興行界の「常識」であったそうな。

さらに同時期に発足した、完全真剣勝負の 「K-1」 が大成功を収めたことから、
「真剣勝負でもやり方次第で商売になる」 ことが実証され、格闘技ビジネスが隆盛を迎えます。

一方、この真剣勝負興行の成功の煽りを受け、プロレス興行は下降線を辿ることになり、
現在は、真剣勝負ではない 「スポーツエンターテイメント」 としての認知のもと、
新日本プロレスに限って、ある程度の興行成績を回復するに至りました。

なお、真剣勝負興行の方は、真剣勝負ゆえのファイトマネーの高騰による経費過多が行き詰まり、
あれほど繁栄を極めたメジャー格闘技興行はすべて壊滅してしまい、
2013年の現在において、数千人規模の格闘技興行は皆無となってしまいました。

そんなバックグラウンドの中での今回の白石発言であるゆえ、
プロレス興行と真剣勝負興行の 「折衷案 (?) 」 的なアイディアは物議を醸し出しています。

関係者も選手も、もちろんファンにとっても未知の領域であるし、
そもそも現行プロレスルールのままで 「真剣勝負」 が成り立つのか、非常に疑問です。

ただ、プロレスの道場においては、力道山時代から真剣勝負のスパーリングは行われており、
力道山存命の頃の日本プロレスの興行では、実際に若手選手による真剣勝負があったと言います。
さらに言えば、アントニオ猪木率いる 「IGF」 でも、プロレスと格闘技の境界線を曖昧にした、
「どっちつかずの迷試合」が2013年の現代において、実際に行われています。

残念ながら、どの 「真剣勝負 (もどき) 」 も興行的な成功を収めていないようですが、
たしかに 「試行錯誤してみる価値」 はあるように思われます。

白石氏及び彼に賛同した選手たちによる 「未知なる領域への挑戦」 に期待します。









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  ▼ 7月定例やまぼうしライブ
   日時 : 7月12日(金) 19時30分~21時00分
   会場 : コーヒー&ギャラリー やまぼうし
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        津軽三味線 福居八大
      https://2iqvfa.bn1.livefilestore.com/y2pBmGx88H8LWTS7HZv5JWnyte3vBsE6YrFSk22v4OmRG99B4fa9RSe9GWZMzgvNSRMvL-4YhU0CEU6-6Fhxa0lEUQzqQrkP9_QZnMNoDRlQmA/20130712yamaboushilive_flyer.jpg?psid=1


  ▼ 2008.07.06 あやあね in 静岡一揆VOL.4 ドリプラシーサイドデッキ
  ※[YouTube]ロゴをクリックすると大きな画面 (別ウインドウが開きます) で観られます
  http://www.youtube-nocookie.com/v/8Ck8wKnkp88?version=3&hl=ja_JP

  ▼ 北街道の唄プロジェクト
  http://www.kitakaidounouta-project.net/
  ※故・森下よしひささんの名曲をCD化するというプロジェクト。
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