キモちE

オイラが初めて 忌野清志郎 を知ったのは、恐らく1977年頃だったと思う。
番組名は忘れてしまったが、忌野清志郎が司会者を努める音楽番組 (恐らく単発) を見た記憶がある。
当時の日本の代表的ロックバンドであった 「紫」、「コンディション・グリーン 等を紹介していた。
番組の最後には自分自身も歌っていたようにも思えるが、主役はあくまでゲストであり、
キヨシロー自身はゲストよりも格が一枚落ちる二流ミュージシャンと言う印象だった。

それまで 「RCサクセション」 の名は知ってはいたが、どんな音楽をやるのかはまったく知らなかった。
しかし、初めて見たブラウン管の中のキヨシローの音楽は、まったくと言っていいほど印象が薄いモノだった。

それから約3年間は音楽雑誌でもテレビ・ラジオ番組でも RCサクセション の名を聞くことはなくなり、
オイラにとっては完全に忘れられた存在になりかけていた1980年、突然、RCはブレイクした。

その頃、オイラが愛聴していたNHK-FMの人気番組 サウンドストリート において、
まったくMCの入らない異例の45分間ぶち抜きライブ放送が行われた。

いつもなら 平山雄一 が曲を紹介しながら番組を進めるはずなのに、
何故かこの日は平山のMCがまったく入らず、ひたすらパンクロック風ライブの模様が流される。

「次の曲は青少年の勤労意欲を失わせると言うことで放送禁止になった曲です。」
と言ったMCを挟みながら、なんとも過激な歌詞の曲が次々と繰り返されていく。

実はオイラ、この日は途中から放送を聴き始めたため、
一体これは誰のライブなのか、さっぱりわからぬまま最後まで聴き続け、
ようやく番組の最後に平山雄一が 「RCサクセションのライブをお送りしました」
とのMCにより、ようやくこの過激なパフォーマンスの主がRCだったと認識した次第。

そのときの率直な感想は、
「あれ? RCってパンクだったっけ? それ以前にロックバンド形態だったっけ?」
と言う、なんとも我ながら情けないくらいの認識度でありやした。

当時はちょうど 「日本のパンク」 の黎明期でもあり、
アナーキースターリン らの人気が徐々に上がっていった頃で、
正直言ってオイラは、RCもこれらのブームに乗ったバンドのひとつとしか思っていなかった。

その後、80年代初期に入り、ラフィンノーズ、ブルーハーツ、有頂天、EZO 等々、
いわゆるニューウェイブ系ロックバンドが百花繚乱の全盛となるも、
そのほとんどが80年代後期にフェードアウトしてしまった。

しかし、RCだけは、忌野清志郎だけは、存在感を失うことなくトンガリ続けていた。

ハッキリ言ってオイラ的には、自分の趣味のド真ん中にハマるバンド、音楽性ではなかったが、
そのオリジナリティ、特に歌詞、ボーリゼーションについてはとても刺激を受けた。

ほとんどのパンク系バンド、いや、ロックバンドの9割以上が、
故意に、無意識に、「歌詞が聴き取りにくい歌い方」 をするのがアタリマエの中、
忌野清志郎 に限っては、「明瞭に歌詞が聞き取れる歌い方、イントネーションの付け方」
を貫いたことは絶賛に値する。

また、他のパンクバンドが馬鹿の一つ覚えの ディストーションの嵐」 的バンドアレンジであるのに対し、
RCは一聴するとスカしているが如くの、何とも軽いカンジのスウィートソウル系のアレンジが特徴的だった。

オイラはこのRCの、過激な歌詞には不似合いなブラスアレンジに拍子抜けすると同時に、
このスカし具合こそ、RCの真骨頂なのか? と思っていたモンだ。

一方では、日本のフォークを彷彿させる曲も少なくなく、オイラ的解釈では、
「フォークの下地を持ちつつ、スウィートソウルのアレンジを施し、パンクのスピリットを貫いた」
と言うのがRCの総合評価である。


それにしても、忌野清志郎 と言うロケンローラーは、まさに死ぬまでロケンローラーだった。

ただ一度も商業主義に走ることなく、恐らくナンバーワンヒットは1曲もない。
しかし、まさに 「記録よりも記憶に残る」 ナンバーを数多く残してきた。
前述のとおりロックボーカリストとしてもワンアンドオンリーのスタイルを確立してきた。

問題行動も少なくなかったが、結果的にテレビからも干されることはなく、
むしろオフステージのシャイでやさしい素顔が国民に愛されるキャラクターとして認知されてきた。

この辺は 「反骨のロケンローラー」 としては賛否両論があると思っていたのだが、
意外と 「否」 の意見は少ないようで、その辺はオイラ的にはちょっちツッコミたい気がしないでもない。
(ちなみに元プロレスラー 前田日明 は引退して10年以上経った現在でもトンガリ度は変わっていません)


オイラ的には決して多大な影響を受けたミュージシャンではないが、
メジャーになってからも放送禁止用語を連発したり、レコード会社と面と向かって喧嘩したり、
と、その 「大人気ない」 姿勢を最後まで貫いたスピリッツには心から賛辞を送ります。

小室哲哉 に代表される 「売れたモン勝ち」 の風潮に最後まで流されなかった姿勢こそロケンローラーの鑑。

まずレコード会社のオーディションに受かって、それから会社の方針に沿った曲を作り続けて・・・
なんてバンドは、形こそ 「ロックバンド」 っぽいかもしれないが、
そんなヤローどもをオイラはロックとは認めない。

売れなくても、食えなくても、「自分」 を貫く姿勢がなけりゃあロックじゃない。

忌野清志郎をリスペクトします」 と発言したプロ・アマ問わぬ自称ロケンローラーのみなさん、
ぜひ、その発言を音楽だけでなく、「生き方」 で示して下さいませ。


日本を代表するロックボーカリストに合掌。




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        20時15分~ Youki 忙しいウサギ
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