オイラがデジタルミキサーにこだわる理由(その2)

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オイラは宅録ヲタクである。

80年代前期のラジカセ2台を使ったダビング地獄変に始まり、
80年代中期のオープン4トラMTRで多重録音の深みにハマり、
80年代後期のMC500を核としたMIDIシーケンス時代から
90年代のマックとVisionにシフトした時代を経由し、
現在のDAW(Windows+キューベース)に至っている。

んで、80年代後期から90年代初頭にかけては、
ミックス時にミキサー(もちろんアナログ)のフェーダーを動かすのではなく、
MIDIのコントロールチェンジ7番(メインボリューム)を細かく打ち込むのが、
オイラの定番手法であった。

実際のところは、ほとんどのMIDI音源はマルチティンバーではなく、スタンドアローンだったので、
ミキサーのチャンネルフェーダーを動かした方が手間はかからないのだが、
どうしても トータル・リコール を行いたいという欲求から、
ミキシングデータ(実際は各機器のボリュームデータ)を保存できる、この手法を取っていた。

念のために説明しとくと、 トータル・リコール ってのは、
「ミックスダウン時のバランスを(完全に)再現できる」 システムと言うこと。

つまり、アナログミキサーの場合、一度ミックスダウンを行って、
後日聴き直してみたところ、ボーカルのレベルが小さかったので、
ボーカルだけ少し大きくしてミックスダウンし直したい、と思っても、
完全にすべてのチャンネルのフェーダー位置を再現することはまず不可能。

プロのスタジオでは、ミックス時のフェーダーやツマミ位置を写真やメモで記録しておいて、
そういった 「再現」 が必要なときに活用するという話を聞いていた。

オレ的には、 「そんなかったりーことやってられっかよー」 と強く思っていたので、
なるべくMIDI打ち込みに関してはボリューム情報を細かく入力し、
アナログミキサーのトリムとチャンネルフェーダーは 「固定」 するようにしていたものだ。

そして、そのときに強く渇望したのが、

「MIDI制御できるデジタルミキサーが欲しい!」

と言うこと。

しかし、80年代においてデジタルミキサーは高嶺の花そのもの。

コンシュマーレベルの DMP7、DMP9 においても50万円くらいで、
さほど大した機能は搭載されておらず、
そのひとつ上のレベルの DMC1000 (約200万円)になると、もはや庶民クラスではなかった。


そんなフラストレーションが溜まりに溜まっていた頃に登場したのが、
正真正銘のトータル・リコール可能な庶民派デジタルミキサー 「PRO-MIX 01」 だった!

厳密には、さすがにトリム情報まではトータル・リコールできないが、それはさほど問題ではなく、
それよりも何よりも、すべてのフェーダー情報、すべてのセンド情報、すべてのEQ情報、
すべてのコンプ情報、すべてのエフェクト情報をリコール(再現)できると言うのは、
ホントのホントに画期的なことだった!

当初は宅録用に欲しいと思っていた、このPRO-MIX 01であるが、
と同時に、この性能なら十分にPAミキサーとしても使えるとも考えていた。

デジタルミキサーの最大の欠点は、「わかりにくい」、「使いにくい」、と言うこと。

アナログミキサーなら見たまんま、直感的に操作できることが、
デジタルミキサーでは 「考えて」 から、操作子を呼び出して数値を入力する、と言う
二度手間、三度手間の手順を踏むことになる。

ハッキリ言って、オイラみたいな宅録ヲタクでもなければ使いこなせないと直感した。

実際、PRO-MIX 01が発売された頃、知り合いのベテランPA屋のオヤヂどもは、
「デジミキぃ? あんなモン、PA現場で使いモンになるか!」
と、ハナっから問題にしていなかった。

だが、その言葉を聞くたびにオイラの心には、

「オレなら使いこなしてみせる!」

と言う過剰な自意識がメラメラと燃え上がっていたのだった。

かくしてPRO-MIXの発売から約1年後、ようやく資金ができ、PA機材一式を購入し、
とあるアマチュアバンドのライブにてオイラのPAシステムのデビューを迎えた。

その結果、使い慣れない機材の操作にかなり悪戦苦闘はしたものの、何とか無事に終了。

以後、オイラのPAは基本的にすべてデジミキを核に据えたシステムとなっていくのであった。


ちなみに、当時の一般的なライブのPAブースには、巨大なミキサーとエフェクターラックが山のように積まれ、
まるで飛行機のコクピットを彷彿させるかのようなその姿こそが 「ステータス」 でもあった。

だが、90年代に入りデジタルシンセが台頭してきた頃から、
ステージ上のシンセ、キーボードの数が瞬く間に減少してきたように、
オイラもそう遠くない将来、PAブースからこれらの機材が消えていくだろう、と言う予感があった。

この予感は、前述のPRO-MIXを実際に現場で使用し、
それまでとは格段に少なくなった周辺機器を片付けていたときに確信へと変わった。

だから 「今(90年代)」 から将来に備えて、デジタル機器を積極的に導入し、
その使用方法に馴れるよう 「体質改善」 を行うことは絶対に有意義だとも思った。


(To Be Continued)




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