相変わらず軸線がブレてるフォーカスライトの新製品

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サウンド&レコーディングマガジン 2009年6月号を買ってきますた。

例によって新製品レビューのコーナーを見ると、フォーカスライトからリリースされたばかりの
「Liquid」 搭載オーディオI/F Liquid Saffire 56 
についてのレポート記事が掲載されている。

「Liquid」 とは、フォーカスライト社が開発したビンテージマイクプリの名機の数々を
デジタルベースで復刻したテクノロジーのこと (だと思う) であり、
同社製品の 「売り」 のひとつとなっている。

その 「Liquid」 を搭載したオーディオインターフェースと言うことで、
それだけ聞くと宅録DAWヲタ的には興味津々となって当然のところであるが、
現在、すでに同社のオーディオI/Fのユーザーであるオイラ的にはちょっちマユツバに思えてしまう。

オイラが所有しているフォーカスライトのオーディオI/Fは、
Saffire Pro 26i/o と言う製品であるが、決して愛用しているワケではない。
つーか、この製品、他社の同等製品に比べてあまりに程度が低すぎる。
特にソフトウェアミキサーの出来の悪さ、パッチングやルーティングの自由度の低さは致命的で、
オイラはこの製品で懲りてしまい、二度とフォーカスライト製品など買うものか!
と自分自身に誓っている現状である。

▼その辺の詳細はこちらを参照あれ
http://blogs.yahoo.co.jp/garage_miho/53108462.html

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さて、そんなオイラ的評価は最悪に近いフォーカスライトの新製品はいかなるモノか?
かなり悪意を含んだ先入観を抱きつつ、サンレコのレビュー記事に目を通してみた。

本記事のレビューを担当しているのは、サンレコではお馴染みの 原田宏 氏。
いつもわかりやすいセミナー記事等を書いてらっしゃる、信頼の置けるライターだと思っとります。

まず、 Liquid Saffire 56 の概要は次のとーり。

アナログ8インプット (うち2chに Liquid Pre を搭載)
デジタル18インプット (adat2系統+S/PDIF1系統)
アナログ10アウトプット (8マルチ+1ステレオ)
デジタル18アウトプット (adat2系統+S/PDIF1系統)
専用ソフト Saffire Mix Control で各種設定・コントロールを行う
市場予想価格99,800円前後

ふーむ、入出力のスペックだけを見ると申し分なさそうな仕様であるが、
オイラ的にはコントロールソフトの Saffire Mix Control の出来が気にかかる。

▼フォーカスライトジャパンからDLして見た同ソフトのスクリーンショットはこんなカンジ。
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オイラは今までそれなりの数のソフトウェアミキサー画面を見てきたので、
一見すればマニュアルを見なくとも大抵の操作方法、機能は理解できる自信がある。
・・・のだが、前述の Saffire Pro 26 i/o の画面はさっぱり理解できなかったし、
今回の Saffire Mix Control もイマイチよくわからない。

一般的にオーディオI/Fを制御するソフトウェアミキサーの画面は、
I/Fに入力された音とDAWからのプレイバック音、
つまり本機の場合はイン・アウト合計54chのミキシング用フェーダーを備えるのが普通であるが、
この画面を見る限り、どのフェーダーがインプットで、どのフェーダーがプレイバックなのか、
一見しただけではよくわからない。

そこでサンレコのレビュー記事を読んで見ると、こんな説明が記載されていた。

本機は Saffire Mix Control というソフトによって様々な設定を行う。
ここから入力信号26chとDAWからの28chの合計54chから18chを選び、
本体内蔵のDSPミキサーに立ち上げることができる。

What? はあ? (← ストーンコールド・スティーブ・オースチンふう)

ぬわんと54chすべてのフェーダーを備えず、
任意に選択した18ch分のフェーダーしか操作できない、だと?

ハードウェアならまだしも、ソフトウェアミキサーであるのに、
なぜわざわざ自由度を制限する必要があると言うのか!

相変わらずフォーカスライトのやることは間が抜けてる。

さらに言えば、約1年前にリリースされた MOTU828mk3 のDSPミキサーには、
全入出力チャンネル分のフェーダーはもちろん、
DSPエフェクト (EQ、コンプ、リベーブ等) も搭載しているのに、
Saffireシリーズには未だにDSPエフェクト機能が搭載される気配さえない。

ハッキリ言って、ソフトミキサーに関しては他社に比べて1年以上遅れていると言わざるを得ない。

その罪滅ぼしと言うワケでもないだろうが、本機の購入者にはフォーカスライトから
DAW用プラグインエフェクトが無償配布されるのであるが、
これがまた、あってもなくてもどーでもいいような製品だったりする。

▼ちなみにスクリーンショットはこんなカンジ

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・・・どーでしょう、この無味乾燥なスクリーンデザインは?
いまどきゲインリダクションメーターやスレッショルドカーブのグラフィック表示がないコンプや、
周波数カーブのグラフィック表示のないEQ、
バーブタイム等のグラフィック表示のないリバーブ、等々
一見して 使えそうもない と直感してしまう最悪のユーザーインターフェース


いやいや、ソフトの見た目が悪いだけで本体のアナログ部の出来は素晴しいのかもしれない。
その辺の情報を見極めるため、サンレコの原田氏のレビューをよく見直して見ると・・・

本機の Liquid Pre 機能は簡易版と言う印象で、
同シリーズの他モデルにおけるEQやコンプの方が変化が大きいと思われる。

つまり、チープと言うことですな。

しかし、そもそも本機の魅力は価格以上のクオリティを感じる音質の良さと自由度の高さにあると思う。
たとえば Liquid Pre が無かったとしても十分魅力的なクオリティなのだ。

つまり、Liquid Pre が無ければ他社の同等製品と大して変わらないと言うこと。
いや、結果論で言えば、使いモノにならない Liquid Pre を外せばもっと安価にできたと言うこと。

そして使い込んで本機の素の音質に飽きてきた頃にこそ、
Liquid Pre の機能がうれしいのではないかと想像する。

普通、こーゆーレビュー記事に「本機の素の音質に飽きた・・・」などと言う否定的表記はしない。
言い換えれば、Liquid Pre の音質は、本機の素の音質に比べて大して優れていないと言うこと。

他にも、本機の機能をなるべく誹謗中傷しないよう、言葉を選んで レビューを書いている苦労が伺えます。

本当は原田氏もケチョンケチョンなレビューを書きたかったのではなかろうか?
さすがにスポンサーとの兼ね合いからそーもいかないでしょーが・・・

何はともあれ、フォーカスライトは相変わらずタコのようです。
少なくともDAW初心者は絶対に買ってはいけないオーディオI/Fの典型的製品ですな。

もっとマシな製品を作らないと、そのうち全ユーザーからそっぽ向かれちまうぜよ。

ま、フォーカスライトがどーなろうとオイラの知ったこっちゃーありませんが。




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   http://www.geocities.jp/garage_miho

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