「出刃とバット」

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オイラが中学校の頃だったか、
水島新司の短編漫画を集めた 「野球どアホウ伝」 ってな単行本を読み、
その本に掲載されていた 「出刃とバット」 と言う作品に深い感銘を受けた。

大まかなストーリーはこんなカンジ。

主人公・ 佐倉新吉 は野球部で活躍する中学生。
将来は高校に進学し、プロ野球選手になることを夢見ていたが、貧乏な家庭事情がそれを許さず、
中学卒業と同時に野球をやめ、バットを出刃に持ち替えて実家の魚屋の手伝いをしていた。

そんなある日、海岸でバットを振る青年・中西将と出会う。
中西はプロ野球球団 「城東アタックス」 のスカウトマンである住吉老人からの熱心なスカウトに心打たれ、
プロテストを受けることに同意した直後であり、数日後には故郷・新潟を離れ、上京すると言う。
住吉老人と中西の野球に懸ける情熱を目の当たりにして、新吉もまた野球への情熱が蘇る。

「駄目でもともと。何も挑戦しないまま夢をあきらめるのはイヤだ。」

新吉は家出同然に実家を飛び出し、住吉老人、中西兄弟とともに東京に向う。
しかし、新吉の数少ない荷物の中には出刃包丁も入っていた。

いよいよプロテストの日。
中西はプロ野球選手が見守る中、驚異の打撃を披露して一発合格。
片や新吉の方はプロのピッチングになす術もない。

「不合格ですよね?」
新吉が尋ねると、住吉老人からは意外な言葉が。

「いや、二人とも合格じゃ。新吉の作る料理は絶品だそうじゃからな。」
そう、住吉老人は新吉を選手としてではなく、野球を愛する料理人として連れてきたのだった。

野球選手としての限界を思い知らされた新吉は、キッパリと選手への未練を断ち切り、
選手を支える料理人としての人生を歩むことを決心する。

選手の寮に住み込み、先輩料理長の陰湿なイジメをものともせず、
決して明るさを失わずに料理人としての腕を磨いていく。
華やかな表舞台とはまったく無縁であったが、
華やかな舞台に立つ選手たちからは絶対の信頼を置かれるようになっていった。

ある日、料理長のタバコの火の不始末により貯金すべてを燃やしてしまい、
怒りに我を忘れた新吉は料理長に向って出刃を振りかざすが、
そのとき、家出したときに黙って見逃してくれた親父や家族の魂が新吉の手を止めた。

新吉は再びゼロからの再出発を誓い、選手たちの熱いバックアップを受けながら、
一人前の料理人への道を歩み始める。

しかし、一方の中西は300号ホームランを目前にしながらもスランプに落ち込んでしまう。
病床でいまや遅しと中西の快打を待ち続ける住吉老人を介抱しながら、
住吉老人、中西、そして自分自身の 「夢」 でもある300号ホームランを信じて待つ新吉。

そしてついに、シーズン最後の公式戦で中西は300号ホームランを放ち、
その勇姿を見届けた住吉老人は静かに息を引き取る。

・・・と言うような、完全ネタバレのあらすじ紹介であるが、
実はこの主人公である新吉のモデルは、ほかならぬ作者・水島新司ご自身新司だそうな。

実家が魚屋であったこと。
プロ野球選手に憧れるもその実力がないことを思い知らされたこと。
その後、上京して野球漫画家の第一人者となったこと。
等々、水島氏は新吉に自分の半生を描写していたと思われる。

どんな世界にも華やかな表舞台に立つ人間と、それを日の当たらない縁の下で支える人間がいる。
表舞台に立つ人間は、厳しい練習を乗り越えて勝ち抜いてきた 「選ばれし者」 でなければならない。
そして、自分が踏み台にしてきた者の 「魂」 や 「夢」 を抱きながら表舞台に立たねばならない。
と同時に、自分を影から支えてくれる 「縁の下の力持ち」 に感謝しなければならない。

この 「出刃とバット」 は、表舞台に立つことを夢見ていた新吉が、
一転して縁の下の力持ちに回り、自分の果たせなかった夢を中西に託して、自分はそのサポートに全力を尽くす。
一方、中西は新吉との約束を果たすべく、自分の限界を乗り越えて念願の 「夢」 を果たす。
と言う、「脇役人生(?)」 を歩む者にとってはヒジョーに ありがちな物語 だと感じた。

この漫画を読んでから30年が経ち、
本業ではないが、オイラは今、アマチュアPA屋と言うポジションにいる。

オイラだって本当ならスポットライトを浴びる華やかなステージに立ちたいと思っていた。
しかし、残念ながらオイラの回りにいる 「一流」 のミュージシャンたちの音楽を耳にすると、
とてもオイラには彼らに匹敵するような音楽的実力がないことを思い知らされた。

しかし、大好きな音楽には一生関わっていたい。
そんな思いが、オイラを、今、このポジションに就かせているように思う。

だから

オイラは、オイラの果たせなかった 「夢」 を叶えてくれる、素晴らしいミュージシャンを応援したい。
そして、オイラのその 「思い」 を汲み取ってくれるミュージシャンたちと、
一生、精進しあいながら付き合っていきたい、と思っとります。


なんてね。


(追伸) でもたまにはオイラもステージに立ちたいなあ・・・




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